社員通信

年内あと3か月、日銀利上げはあるか

秋の彼岸が終わり本日から10月に入りますが、天気予報によればやっと猛暑に別れを告げ一息つけそうな中、日没時間の早まりをハッキリ認識できるようにもなり、今年こそ暫く秋を満喫できることを願いたいと思います。

10月と言うと本日1日から隣国の中国は国慶節を迎え、報道では8日までの休暇の間に延べ23億人が大移動するとも予想されており、中でも海外脱出組の渡航先一番人気は日本だそうです。

※Yahooニュースに掲載されていたテレ朝NEWSの動画をキャプチャー 番組内容と当該記事とは無関係です

地理的にも近い上に日本の漢字文化にも親和性があるので、来日しやすいのかも知れませんが一方で、中国と言えば確か、つい先日まで日本戦に勝利80周年が云々として大規模な軍事パレードに絡めた運動があったり、抗日戦争映画までもを新たに製作して反日感情を煽るようなことをしていたはずでしたから、政府と民間の思考に乖離(かいり)があるのか、どうも理解に苦しむところです。

まさか反日感情を抱えたまま「日本を荒らしにでも行くか」となっていないことを祈りますが、ルールと礼節を守って来日いただける分には渡航元が何国であろうが大歓迎致したい半面で、それでなくても円安の影響で誰でも安易に来日できるようになったからなのか、迷惑ティックトッカ―や迷惑ユーチューバーと言われるような海外からの非常識な輩が増加傾向にあるとも言われていますから、我々も少し気を引き締めておいた方が良いのかも知れません。

 
さて、一応は9月の中銀イベントを通過した各相場ですが、多少のトレンドが発生する期待があったにもかかわらず現状は、相変わらずの一進一退が継続している感じです。

9月終盤の相場を振り返ると、

日本時間18日早朝のFOMC発表は予想通り25bpの利下げとなり、一時ドルは下げ幅を強めて長期間揉み合っているレンジの下限へと下落したものの、利食いなどの巻き戻しも強く入った模様で、一気に揉み合いのコアレンジに引き戻されると、その後は利上げ期待もあった日銀の政策金利は据え置かれ、また幾つかの米・経済指標が底堅かったなどでドル金利が上昇し、今度はレンジ上限へとドルが上昇したと思えば、

今週に入っては日本の景況感が底堅くまた、30日には直近の日銀金融政策決定会合の意見要約が公開され、利上げに対してある程度は柔軟的だったことが判り、利上げ期待が再び高まったかのように円が買い戻されている状況で、再び147円台を中心とした長期揉み合いのコアレンジ内に引き戻されつつあります。

既にご存知かと思いますが政策金利について一般的には、アメリカドルに対しては利下げ圧力が、日本円に対しては利上げ圧力があるとされているので、潜在的な方向感としてはドル売り円買いではあるものの、据え置きという選択肢が両通貨にちらつくことで方向感が出にくい状況なのだと思いますが、

相場がトレンドを持つためには市場参加者が同じ方向を向く必要があるという点で、日銀の金融政策に対して海外勢はどこまで意識しているのかも重要なところ、そこで9月のFOMC前後から月末までの主要な対ドルペア『(ユーロ(左)、ポンド(中央)、円(右)』の値動きを比べて見ると、

※Trading View社の4時間チャートをベースに作成しました

それまで例えば、円が揉み合う中でユーロは強く、ポンドは強めに推移するもユーロより上値が重いといったそれぞれの動きをしていたところ、この期間に限ってみると久しぶりに概ね同じ動きをしており、日銀の金融政策はさほど影響がないとも言えそうです。

つまり対円だけを見た場合、円売りが加速した背景として日銀が利上げを据え置いたことも一因だと考えられるところ、その影響がないユーロやポンドも同様に安く推移したことで、一連の動きはやはりドルがテーマだったと言えるかもしれない…ということですね。

お仕舞いに、この期間のドル高はまさにFOMCをキッカケに始まったと言えそうですが、年内あと2回しかないFOMCで更に0.5%の利下げという話もあった中、なぜ急にドルが買われたのかは疑問です。

前回の投稿にも書いたように、「噂で仕込んで事実で利食う」といったシナリオが現実となったのであればある程度は納得はいきますし、実際にドル金利もFOMC直前をボトムとして緩やかに回復基調にある点を見れば、さほどの違和感はないとすると、対ドルペアはやはりドル金利動向に従いやすい点に加えて、日銀の動向については余り関心がないということが透けて見えた感じです。

だとするともし今後、日銀が利上げに踏み切ったとしても円買いは継続しない可能性もあり、かの日銀の意見要約に見られた、据え置きの一因とも言える「海外景気への懸念」はやや、ビビり過ぎのような気もします。

現に日本国内は今月も値上げラッシュになるなどインフレは顕在化しており、それに対応するのが中央銀行の努めですから、今回もまたその機会を逸しないよう願うところです。

その判断材料として本日08:50発表の短観は重要だということですから、是非とも注目しておきたいと思います。

浅野 敏郎
P.S.
今月の日銀発表予定が一覧できるURLをご紹介します。
https://www.boj.or.jp/about/calendar/index.htm
利上げが煮詰まってきた中、これらを確認することでもしかすると方向性がより鮮明になるかも知れません。

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