社員通信

世界的選挙年2024も山を越えた今

前回の原稿公開時点は、選挙年最後の大一番ともいえるアメリカ大統領選挙の開票真っただ中にあり、相場関係者は非常に緊張感をもって見守っていた状況でしたが、

ご存知の通り結果はトランプ氏の圧勝という形で幕を閉じました。

その後の議会選も結局、トランプ氏の共和党が過半数を獲得したことから、大統領、上院、下院全てが共和党で支配されたことになり、

レッド(赤)は共和党のイメージカラーであることから、トリプルレッドと呼ばれる事態となっています。

※BBC NEWS JAPANの記事(https://www.bbc.com/japanese/articles/c99rxyyngmlo)よりキャプチャー(記事内容と直接の関連性はありません。)

アメリカファーストを掲げるトランプ氏の政治目標などの詳細は個々でお調べいただくとして、代表的なものだけでも

・輸入関税引き上げ
・化石燃料への回帰
・大規模な規制緩和政策による米国内産業活性化
・大幅減税による米国内景気の押上げ
・移民対策の強化

などが挙げられます。

既に周辺人事候補などが次々に報道されていますが、どれも右に振り切っている方々と言われている模様で、それなりに心配するネタではありますね。

さすがに移民対策にしろ経済対策にしろ、国境の壁と関税障壁で国境をガチガチに固めれば米国そのものが孤立する、程度のことは一度大統領を経験しているトランプ氏なら、ある程度はわかっているとは思いますが、

何をしでかすか分からないのもトランプ氏であり、就任後は幾度かのトランプ・ショックがあることでしょう。

もし、こうしたやや過激な政策を本当に実現してゆく方向に動き出した場合、その先にはプーチンや習主席と同じような独裁的国粋主義者にもなりかねない懸念は消し切れないところであり、その国アメリカは以前の原稿にも書いた「カッコいいアメリカ」から一層遠ざかることは間違いないでしょう。

 
一方で日本国内に目を向けると、

自民党総裁選にサプライズ勝利した石破総理は、猫ダマシ総選挙に踏み切り、結果は自民・公明の連立与党が過半数割れとなって現在に至っている訳ですが、

総選挙で皆様はどちらの候補に投票されましたでしょうか?

あくまで個人的な印象ですが、これまでの与党にお灸をすえつつも、国家を引っ張れる力があるのは現状自民党だという、微妙にバランスが取れた結果だったと感じています。

与党の独走を阻むには、裏金問題に終始していた観がある野党第一党の立憲民主の力が必要でしたが、政策目標に関しては一般的な大風呂敷を拡げた程度という印象しかなく、過半数割れを起こす大役は果たしたものの、野党をまとめるのはこれからでしょう。

個人的には与党がどの党になっても構わないのですが、仮に自民党が第一党のままだとしても、それなりの脅威が野党に存在するという状況は、政策の実行にあたる際、よく揉まれたより効果的な実施がなされるのではないかと期待しているところです。

 
さてさて問題は、
こうした現実が実際の投資環境にどのような影響を与えるかということですが、

今各方面で出ている様々な予想は、あくまで机上の想定論であって、今後も都合の良い局面で繰り返されることでしょう。

実際に大統領選挙の前後では「トランプトレード」という言葉と共に、各投資市場はとにかくアメリカ買いが先行しその結果、ドル高-株高といった状況が暫く続いている中で、更には長期債を売って株を買う資金シフトにより、長期債の利回りをも上昇させている可能性が高い値動きになっています。

余りに先取りしたこのような動きや思考回路は、最初に仕掛けた筋によって恣意的に誘導されている場合も考えられ、粛々と世論創りがなされているのかも知れませんが、

何れにしても、集中し過ぎた資金はやがて耐えられなくなりバブルが崩壊する訳ですが、上のような市場の状況は不自然であることに違いはなく、

思いを巡らせると、我々も経験した日本版バブル崩壊前の日本の状況にも似ているような気がして危惧している自分がいるのも確かです。

適度にガス抜きさえできれば、或いはこのトランプバブルは長生きできる可能性もあり、我々はあまり先のことは深く考えずに流れに乗ることが重要なのは判っていますが、

小さなガス抜きでも昨今のハイボラな状況下では、それなりの値幅を伴うことが想定でき、その際の危機管理だけは対策しておく重要性が、時間経過とともに増してゆく可能性が高いと考えています。

このように考えると、トリプルレッドの次期トランプ政権は暴走する懸念がある一方で、また修正も早い可能性もあり、そういった意味で今後はアメリカに振り回される展開が予想されます。

 
 
浅野 敏郎

P.S.
そういえば総選挙投票の際、政党名を省略して書く際の表記が投票箱の前面に張り出されていますが、そこには立憲民主党も国民民主党も同じ「民主党」であったのをご存知でしたか?
今改めてネットで調べれば詳細が書いてありますが、私にとって今回の気づきが初めてだったので正直、ビックリでした。ふつうは支持する政党にしか目が行かず、その略称を書き込むのが一般的だと思いますが、実はどちらかの民主党がどちらかの民主党に塩を送った結果になったかも…ですね。

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