5月最初の投稿です。
担当曜日の第一水曜日が連休最終日と重なったため、今月は第二・第三水曜日を更新日とさせていただいております。
という訳で、直近の投稿からそれなりの時間が経過してGWを丸々跨いでしまいましたが、前回原稿の中である程度は予感していた財務省によるドル売り円買い介入が現実の事となりました。
4月30日のアクションは認識の範囲でしたが、二次情報によれば5月も1,4,6日に介入が実施されたとの話もあり、介入規模は合わせて8.5兆円超との推計もあるようです。

※メーテレWEBサイトの当該記事(https://www.nagoyatv.com/news/keizai.html?id=000502205)にあった動画ニュースのワンシーンをキャプチャー
今回の介入で珍しかったのは、
片山財務大臣が介入実施前に「宣誓発言」をしたことですかね。
2022年以降のアクションでは、いわゆるステルス介入が主流でしたから、今回は国内投資家にある程度の配慮をしたのかも知れませんが一方で、
実需勢に配慮した「救いの雨降らし」になったかという観点では、4日と6日の介入は本邦金融機関は非営業日で注文の取り扱いはできなかったはずですから、
海外投機筋へのメッセージにはなったとしても、残念ながら155円台でドルを買えた本邦実需筋は限定的だったかも知れないですね。
ところで記憶が正しければ、
30日の介入は政府筋が認めたものの、以降は再びノーコメントの姿勢を貫いている訳ですが、その昔の私が現役だったころの介入では、政府の姿勢を明確にするため、介入の事実を伝えることに積極的な時代もありました。
やがて、介入に立ち向かう投機筋の暗躍が優勢になると、ステルス介入を挟むようになり、それまでにはあり得なかった在日の外国銀行や海外証券筋に介入を発注したり、海外市場でも介入を実施するなど、意表を突く手法の方が効果的だったのか、ステルス介入が前回までの主流になっていったという経緯があります。
今回の2026年介入では当初、なぜ表舞台に立ったのかその真意は不明ですが、「恐らく、片山財務大臣は動かない」といった噂が投機筋に蔓延していたとするなら、ある程度の心情は察しできるものの、
「断固としたあらゆる手段」が結局、為替介入というレガシーな手法だった訳で、ならばもっと早い段階で手を打てたのではないかという疑問も芽生えますね。
さて少し早いかも知れませんが最後に、
ここからはあくまで想定のお話になりますが、今回の直前の介入は2024年の7月だったというのが定説である中、その後暫く介入のタイミングについて、ボリンジャーバンドのσ2がトリガーとの噂があったと記憶しています。
ただ、日足なのか週足なのかその他の時間軸なのかや、平均値を算出するための対象期間が何本なのかの特定が無かったため、個人的には真剣に取り合わなかったのですが、
実は今回の介入である程度再確認できた別の事実があり、それは24年7月高値の節目になった162円がデットエンドである可能性です。
これまで、幾度となく繰り返された口先介入では、介入に対して特定の水準は想定しておらず、あくまで急激な変動に対処するという大義が聞こえていた訳ですが今回、

※Trading View社のUSDJPY4時間足チャートをベースに作成しました
3月下旬以降のドル円相場は概ね159円を中心に、前後約1.5円程度のレンジで一か月以上揉み合っていた中で、4月29日にこのレンジ高値を僅か1ポイント程度上回っただけで、30日の介入準備に入ったとするなら、大義とは程遠い臨戦態勢だったと言わざるを得ません。
もちろん、30日の変動が161円に迫ったことで、実際の行動に出るトリガーになったのだとは思いますが、とは言えレンジ高値を30ポイントにも満たない程度であり、決して急激な変動ではなかったことは周知の事実です。
ということは、許容範囲の上限に近づいた事が行動の根拠だったと考えるのが自然に思えることに加えて、
4日、6日の継続介入で透けてきた事実として、揉み合いレンジの安値レベルとなる157円台中盤から158円水準に新たな防護壁を創りたがっている意図が透けて見えましたから、
今後の展開は予測しきれないものの、相場がもしもこの水準に再度アプローチした際の、財務省の反応は最も注目すべきポイントとして銘記したいと思います。
何れにせよ、過去の原稿でも幾度か触れたように、162円のデットエンドが崩壊した場合、170円台への円暴落が視野に入る以上は、161円台は警報領域にあると考えられ、
それに近づく変動に対しては、大義に当てはまろうと無かろうと常に臨戦態勢にあるという、ある種の個人的確信を得た2026年GW介入でした。
浅野 敏郎
P.S.
ちなみに、ドル円相場が160円台にあること自体、2024年の介入以前にさかのぼると1990年以来のことで、いわゆるバブル崩壊元年と言われている水準です。言い換えれば為替レートだけを見る限り、失われた35年はやっと振り出しに戻っただけだとも言えるように思えます。つまり、バブル無き繁栄を実現するにはこれ以上の円安は弊害が多く、そうなった場合はそれこそバブルへの道を突き進むことに等しく、何れはバブル崩壊が待っていると換言できるかも知れません。35年前と異なるのは唯一、いい意味での円高への反転が期待できる点として、当時の経営者メンタルがコストカットという萎縮へ急激に振れた一方、現状は投資という拡張へのメンタルが根付いてきた部分だ、と俯瞰している次第です。次週はドル円相場とチャート上の位置関係について、今回の介入でどのような変化があったかなど、再度確認してみようと思っています。