前回の投稿では相場の入口と出口について
難しいのはどちらか?
というテーマでお送りしました。
予告通り、今回は重要なのはどちらか?
について、持論を展開させていただきますね。
前回を未だお読みになっていない方は是非この機会に
ご一読いただきたいのですが(相場の入口と出口、どちらが難しい??)、
簡単にかいつまんでみますと、
出口を議論する時点では必ずポジションが出来ており、
ポジションが無い入口よりも、損益が確定してしまう分だけ判断が難しい…
というのが私の持論でした。
では、どちらが重要かというテーマに置き換えた場合、
私が最もカギとなると考えているのが、
「ポジションの余裕度」という切り口です。
一般的には、
トレンド相場では利益を伸ばせるだけ伸ばそう
とよく言われます。
これを叶えようと、数多くのトレンド分析手法が生まれ
示唆されている方向が崩れるまでは
トレンド継続と判断してポジションを継続する
という運用方法が多い印象です。
アプローチそのものは非常に有意義なのですが、
これを活かしきる大前提として、
・既にトレンドに乗ったポジションがあり、
・利益をどこまで伸ばせるか?
・損失をどこまで小さくできるか?
という、前回テーマの難しい部分に直面している状況下
にある場合だと思っています。
つまり、
一時的にトレンドと逆行する調整の値動きに対して、
余裕がないポジションは方向性が崩れる前に
損失を確定せざるを得ない状況が想定でき、
ここをかわすための余裕を手にするには、
トレンドの初期=入口
でエントリーすることに
全てが掛かっているという訳です。
文字だけではわかりにくいと思いますので
具体的にチャートで見て参りましょう。
2022年のドル円相場を振り返りながら
ご覧のチャートは2022年のドル円日足で
トレンド判断には50本の単純移動平均線を表示しています。
2022年はドル円相場にとって激動でしたが、
もしこのMAをトレンド判断として使っていれば、
11月10日の大陰線以降に下降に転じるまでは、
年始から一貫して上昇しており
「どこで買っても大儲けできた」と豪語すらできそうな展開でした。
まず直近から見て行きますが、
MA50の下落を決定づけた11月10日の終値140.949で
とあるロングを手仕舞ったとして、
僅かでも収益で終われたのは、
140.949円(水平線A)以下のロングに限られますね。
水平線A以上のロングは、
いくらその時のMAが上昇を示していたとしても
結果的に余裕あるポジションではなかった…
ということになります。
では次に、水平線A以下でのロング機会を見てみますと…
一見機会は幾らでもあったように見えますが、
8月2日の押し目B以降の上昇ではトレンドを妄信していない限り
新規買いは中々難しい状況でした。
というのは、中間高値Yを付けた7月中旬から
下旬にかけての9円近い下押しを形成する間、
押し目Bからとった水平線B以上のロングは全て
含み益すらない、いわゆる余裕が無いポジションになっており、
以降、高値Yを越えるまでは、見切り売りは出ても、
新規でロングを取る余裕は無かったと推測します。
ここまでを振り返ると、
結局11月10日まで、MA50を信じて引っ張れたロングは
B以下でエントリーしたポジションということになりますが、
やはりこの直近にもCを押し目とする調整の動きがあり、
C以上B以下のロングは余裕が無い厳しい期間でしたし、
3月末には4円50銭近い押し目Dを付けるなど、
2022年の大相場で言えることは、
利益を伸ばせるだけ伸ばすことが出来るといった、
終始余裕があったロングは、
ザックリと年初来高値を上抜けた3月11日から
3月末日の押しでも損失を一度も見なかった23日までの
116円~121円と
Cより少し安く3月末の押し目前高値の僅かな隙間
しかなかったとも言えそうです。
もちろん、日足と50本SMAの組み合わせで見ると…
という範囲ですし、
途中の買い増しコストとの平均で、
例えば、119円でロングに出来ていれば、130円でロング
をとっても、平均コストは124.50円なので、130円を付けて
以降は一度も124.50円を下回らずに余裕あるポジションを
最後まで維持できた可能性はあります。
何れにしても、トレンドの初期段階でいかにエントリーするかで
その後の余裕の全てが決まると言えそうですから、
入口がいかに重要かがお分りいただければ
今回取り上げたテーマの説明のし甲斐もありました。
浅野敏郎
P.S.
既に上昇トレンドは終了したとのコメントが最近になって多く見受けられます。
それぞれの根拠をしっかり見極める必要がありますが、波動で考えるとするなら、
今相手とする波動は押し目B以降最高値までの上昇波動になりそうです。
今の時点で言える正解は、
「Bを割るまでは上昇トレンドにあるものの、最高値からの押しは
既に深すぎることから、直ぐに再び150円台を狙うような動きは考えにくい。
22年年初に見られたような明らかな入口がどの水準で形成されるのか、
確認できるまでは短命な乱高下相場が先行しやすい。」
といったところです(12月13日記時点)。
CPIとFOMCを今夜と明後日早朝に控えて、どう推移するか注目しています。
今回が年内最後の投稿になる可能性を考えて、
一言ご挨拶を兼ねまして追伸させていただきました。良いお年をお迎えください。
そして、2022年よりは難しい展開も予想される2023年も、無事に切り抜けて参りましょう!!