社員通信

残暑お見舞いとドル円相場の現状把握

8月最初の投稿です。
改めまして残暑お見舞い申し上げます。

今月は夏季休暇の関係で、第二&第四水曜日が投稿担当になり、前回投稿から時間が少し空きましたがその間、色々な事が起こりました。

 
当時開幕したてのパリ・オリンピックは既に閉幕し、ちょうど開催日程を跨いだ形でしたが、

好結果が期待される競技が今まで以上に多かった中で、結果は期待以上となり、メダル獲得数はアメリカや中国の次に日本がくるなど、大いに沸かせてもらいました。

※YouTubeの日テレNEWS(https://www.youtube.com/watch?v=OxPoTaVvISY)よりキャプチャー

また、宮崎沖で発生した地震が南海トラフ大地震との関連性が指摘されて警戒情報が発令されるなど、緊張した状況は今尚、続いています。

 
そしてそして相場の方ですが、

ドル円相場は戻り最高値付近の161円台後半で揉み合っていた7月11日に、やや意表を突かれた形で市場介入を受けた訳ですが、その後もアメリカ経済指標の弱い結果が続き、これまた意表を突かれた月末の日銀利上げを経て8月5日安値の141円70銭前後までのおよそ20円幅を、わずか18営業日で暴落。

日経平均も概ね同じ期間で、11日高値42,500円付近から30,380円付近へと12,000円強の暴落後、翌日には前日終値比で2800円強戻すなど、共に狂乱相場となりました。

日本のお盆WEEK中である現在、今のところ少し落ち着きは見せていますが、目先の思しきオーダーは大方吐けてしまったとみた方が無難な状況の中、ヘッジファンドなどのパワープレーが再開すれば、いつでも狂乱相場が再開してもおかしくないと考えています。

そんな状況下で相場の現状を把握するのは非常に困難なことではありますが、先入観を極力排除して、冷静に俯瞰してみようかと思います。日経平均の方は専門家に委ねるとして、ドル円相場に集中して観察してみます。

 
先ず月足からですが、
普段は余りチェックをしない時間軸だと思いますが、たまに確認するのは必要で、今回はその良い機会です。

※月足 Trading View社のチャートをベースに作成しました

2020年3月の安値以降、特に2021年から円安が進み、2022年終盤の円買い介入で陰線が3本続いて大きく下落した後、2023年末にはドルの利下げ観測が強まって陰線が2本連続するなど、これまで幾度か深押しをしましたが、2024年4月に介入前の高値を越えて上昇が再度加速したこどで、GW付近の第二次介入と7月の第三次介入に遭って現在に至っています。

第一次介入直前の高値を約152円として、2024年4月まではこの高値水準で上値を抑えられていたことが判り、要するにこの間は大きな三角保ち合いが示す通り、いわゆる揉み合い期間でした。

上抜け後の7月に付けた最高値161円95銭を約162円とすると、保ち合い高値の152円から10円上昇したことになりますが、一方の8月安値141円65銭を約142円とするなら、保ち合い高値の152円から10円の下落をしたことになります。

厳密に言えば下落の方が10円超と、若干下げ幅の方が勝りますが、152円という水準はこの高値波乱の中央値(半値)になっていることが判り、今後もこの152円水準は高値圏での騰落のセンチメントを測る上で、大変重要な水準になる事は必至でしょう。

ここまでの変動は2023年末の安値を割り込んでいないことから、2021年来の大きな上昇トレンドは一応否定されていませんが、152円水準の下側で推移している限りは、高値圏を弱気に推移していると認識でき、先ずは142円~152円の大きな揉み合い相場の中に今は居ることを念頭に入れておきたいと思います。

揉み合いと言っても、10円のレンジではなかなか身動きが取れませんので、もう少し絞り込んでみます。

 

※週足 Trading View社のチャートをベースに作成しました
次に週足ですが、

7月高値から以降、陰線が4本連続し5本目も一時は大陰線になりかけましたが
戻しもそこそこ強かったことから辛うじて下ヒゲ陽線で終わり、今週を迎えている状況です。

一目均衡表の先行スパンに深く入り込んだものの、先行スパンの上に出て終われたことは、月足で確認できたように、潜在的な上昇相場は否定されずに済んでいる状況です。

一方で、基準線と転換線は既に下降へ転じて、現在は151.81円で一致しているように、月足で想定した152円水準がキーレベル(重要な水準)になっていることの証明でもあります。つまりはこのまま底堅く推移出来たとしても、152円に近づくにつれて段々と頭が重くなることが示唆されている訳です。

両線が一致する状況は、約20円暴落した今回の波動の高値と安値を抜けない限り直ぐには動けず、転換線が受動的に動き出すには、
・4週後以降に対象となる高値が外れることによって下落が再開する場合か
・8週後以降に対象となる安値が外れることによって上昇反転するか
に分かれます。

5日の下ヒゲをオーバーシュートとするなら、今後145円台後半から少しずつ上昇する先行スパンの上限をサポートに、上値はやはり152円水準といったレンジを想定したトレードが順当に見えます。

月足に比べて小幅に下値を狭めて考えることができましたが、決して安心できる状況に無いことは確かです。

というのも、162円の最高値を越えない限り、転換線が受動的に下落することは決まっており、つまりは基準線との逆転が既に示唆されている訳です。

更には、そうなる前になるべく上値を伸ばさしておかないと転換線の下落は深くなり、このまま安値圏で時間を費やしてしまうようだと先行スパンに入り込み、その先は既に152円水準まで上昇している先行スパンの下に出てしまう事が既に示されており、それを回避するドル買い意欲がまだ残っているかどうかにかかっているような状況です。

 
最後は日足ですが、

※日足 Trading View社のチャートをベースに作成しました

7月23日に先行スパンの下で引けて以降、3役も逆転して完全に売り時代に突入しており、週足とは様相が異なります。

基準線は週末金曜日から再度下落し始める一方、転換線は上値を大きく切り上げなくても5日の最安値足が外れる金曜日以降は、上昇に転じることも充分可能であることから、好転できるかどうかのタイミングに注目する形になります。

ここまで152円を騰落の分岐点に置いてきましたが、日足でも先行スパンの右端をみればお分りの通り、152円以下では概ね先行スパンの下で推移することになり、こちらでも証明できる状態です。

152円以下で推移している現状は弱気が優勢だと考えられますが、152円と安値142円の半値となる147円を基準に考えると、147円前後で陰陽を繰り返している現在は、そのせめぎ合いをしているのかも知れません。

 
何れにしてもここ数週間、週足のボラティリティは3~4円もあり、日足でも1.5円近い状況ではリスクが高い相場付きであることは間違いありません。

そのような相場で不用意なエントリーが多くなると、ロスカットに遭う確率も多くなりがちですから、暫くは慎重なトレードに徹するよう心がけると良いでしょう。

 
お仕舞いに、直近のキーレベルを幾つか列記しておきます。

※拡大表示するには、上記表の上を右クリックし、「新しいタブで画像を開く」を選択してください。

基本的なアプローチ方法は、
・レベルの手前で逆張りでエントリーして越えたらロスカット
または、
・レベルを越えるタイミングを順張りでエントリーして元のレベル以内に戻されたらロスカット

というのが王道ではありますが、最近は故意的と思われるオーバーシュート(瞬間的に超えて再度元に戻る値動き)が深いケースが多く、その対応が悩ましい状況である事を申し添えたいと思います。

 
 
浅野敏郎

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