社員通信

ドル円相場は底堅いのか?天井が重いのか?

4月も半ばに差し掛かり、気候もまさしく春本番になってきました。

前途多難に見えた今年度の始まりも否応なく時間だけが過ぎてゆく中、相変わらずトランプ氏の言動には一貫性が無く、日本を含めた世界が翻弄されている形です。

直近の停戦交渉も結局は合意に至らず、挙句の果てに何を言い出すかと思いきや、アメリカがホルムズ海峡を封鎖するとのこと。

※朝日新聞サイトの当該ページ(https://www.asahi.com/articles/photo/AS20260412002810.html)の掲載写真をキャプチャー、あくまで海峡のイメージが主眼です

意図として二次情報によると、イランに袖の下を払って航行する船やイランの港を直接入出港する船を通さないことで公平な国際海域を維持することが目的とされており、放棄しつつあった世界警察的な立場を急に持ち出すことになっています。

裏を返すと、同じ自由主義国家でもアメリカ(というよりトランプ氏)に対して批判的な国は封鎖の対象にもなりかねず、高市氏のしたたかな国家運営の手腕が問われることになりそうです。

何れにしても、ホルムズ海峡が急に安全に完全解放されるわけでもなく、原油市場を筆頭に価格の高止まりが続く懸念は払しょくされておらず、ひいては日本の経済状況の視界が晴れるのもまだ先の話になりかねない訳ですが、

今となってはアメリカは日本にとって援軍か敵軍か、判断に苦しむ自分が居るのは確かです。

それにしても何故、イスラエルはこんなにも好戦的なのに世界から干されずに済んでいるのか不思議なのですが、それは宗教的な側面に加えてもしかすると、いわゆるユダヤ系に代表される金融界での圧倒的な立場がそうさせている、としか思えませんね。

 
さて本題ですが、

イラン攻撃が本格化した3月以降、あらゆる相場コメントに頻繁に登場する「有事のドル買い」ですが、実際の相場を良く見てみると当初の上昇を除き、揉み合いの域を脱していないように見えます。

既にドルがロングの方々にとっては、よほど早めに動けた方を除くと、言う割には運用状態もさほど良くなく、相場は重いと感じる一方で、

ショートの方々にとっては、やっと割れたと思ってもあっという間に戻され、週足ベースでは長い下ヒゲを伴った陰線が悩ましく、相場は底堅いと感じる状況ではないでしょうか。

理由として、結果的に揉み合うなら「スワップ狙いでロングに振っておくか」的な参入も相場を底堅くしている可能性がある一方、ご存知の通りこの先のドル高には為替介入懸念があることで上値が重くなっているのが実際のところでしょう。

そこで、テクニカル的にはどうなっているのか、久しぶりにドル円相場を簡単に分析してみますが、実は14日火曜日と15日水曜日は家庭の事情でどうしても時間が取れず、分析内容は4月13日時点のものであることを事前にお詫びを兼ねて申し上げます。

 
では週足から参りますが、
月足は2月以降大勢に変化は無く、僅かな気付きはこちらで説明します。

※13日23:00JST時点のTrading View社チャートをベースに作成しました

ローソク足に加えているテクニカルは一目均衡表とZigZagですが、月足での僅かな気付きとは、3月の高値(現行足を含め3本前の陰線高値)について、

 ・波動(ZigZagが示す各直線)で見るところの本年1月ピーク、つまり2024年介入以降の2番天井を越えたこと

そして、
 ・2024年4月の第一次為替介入時高値を越えた

という2点の意義はそれなりに大きい可能性があり、つまりはここ数週間高値圏で揉み合ってきた相場に、上放れの兆しが見て取れるという訳です。

詳細は日足で説明するとして、他に週足で俯瞰して思うことは、

本年1月の深押しで、以降の相場がその内側に閉じ込められていたところ、この数週間では幾度も上値突破を試したもののフォローもなく失敗し続けた割には、下方へ切り返すこともない値動きは、上値を狙って介入に挑戦する準備が着々となされている可能性を感じており、

政府筋がこの場面でも沈黙したり、28日の日銀会合で金利据え置き決定などをきっかけにして、戻り最高値の2024年高値を一気に伺うような展開には要注意だと考えます。

また一目均衡表も上昇の構図にそん色ない上に、ここからの高値更新は各線の能動上昇に直結することに加えて、転換線は既に受動上昇する段階に入ったことで下方からの圧力が加わる、という形です。

一方下値方向に関しては、越えてきた各高値が目先のサポートにはなりますが、本日時点での転換線はまだ156円台中盤に位置しており、順次上がっては来るものの、転換線までの押しがあってもまだ「上昇に曇りなし」という状況です。

 
次に日足です。

※13日23:00JST時点のTrading View社チャートをベースに作成しました

イラン攻撃再開で3月初日にドル買いになったことで、先行スパンをしっかり上抜けて3役好転を完成した相場は、位置関係を維持したまま現在に至っています。

3月中旬以降、有事のドル買いが強調され続けた割には揉み合ったままであることが判りますが、結果的に13日月曜時点の均衡表は、転換線(水色)が158.96、基準線が158.87と、僅か9ポイントにまで接近しており、次なるアクションの出発点になる可能性を秘めています。

そこで先ず均衡表が逆転する場合を想定すると、

基準線は15日時点で対象安値になる3月19日安値が外れるまでは水平に推移する一方、転換線の目先は8日安値157.89を18ポイント以上割り込む必要があります。

逆に好転を維持して上昇の形に戻る場合を想定すると、

転換線は、4月7日の高値160.03を超えるだけで能動上昇でき、基準線もまた3月30日高値160.46を超えると能動上昇します。

加えて2線の対象安値は157円台中後半で概ね一致することから、160.46を超えるとほぼ並行的に上昇する可能性があり、上放れを連想するには十分な材料です(例として2025年10月初旬に6陽連となったステージを参照)。

 
ではお仕舞いに、
あえて中立でいるために上下両方の可能性を模索してみた訳ですが、目先重要なキーレベルまでの値幅だけを見ても、仕掛けるには上方向の方が圧倒的に近いことだけは事実でした。

推奨する訳ではありませんが、もし円売りを考える場合、有事のドル買いなどどこ吹く風のユーロドルには介入懸念はほぼ無いわけで、ユーロ円の方が面白いかも知れません。

一目均衡表のユーロドル日足は、まだ最後の先行スパンとの関係が逆転したままですが、例え本邦の介入警戒感が現実になったとしても、ドル売りにユーロドル相場が反応してくれれば、そのダメージは多少和らぐ可能性を感じています。

政府が言う「あらゆる手段」の中でまさかの一手として、ユーロ円でECBとの円買い協調介入が考えられますが、ユーロ圏でもインフレ懸念がささやかれている地合いの中で、少しでも緩衝材になり得るユーロ高に水を差す行為に賛同する余地は少ないように思います。

 
 
浅野 敏郎
P.S.
配信日と分析日に差があるため、いつものようにキーレベルを一覧することは今回控えます。
ところで、2024年の第一次介入はGW前半の4月末でした。タイミング的にも次第に似通ってきている一方で、確かにこのところの値動きは政府が危惧する急変動には当たらず、大義を見失っている可能性もあり得そうですが、果たして…。
GWを心から楽しむためには、ポジションはある程度軽くしておくことをおススメ致します。

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