社員通信

最近、投資を始めた方へ…リスクを限定していますか?

カレンダーは3月に入りました。

寒暖の差が激しい日々が続き、
体調を崩す方々も増えていますので、気を付けてください。

さて、3月と言えば、
多くの日本企業が年度末を迎えますから、

今月からその後の決算発表シーズンにかけて、
特に株式市場は何かと騒がしくなる季節ですね。

ここまでの為替と株の流れとしては、
円安、株高というのが国内市場の流れではありますが、

皆さんはリスクの対処はできているでしょうか?

 
投資業界では、投資家保護の観点から、
投資商品を売買する際のリスク開示を顧客に行うよう
厳しく指導されてから暫くが経過しました。

投資経験が長い方々にとっては
もはや目障りな存在かも知れませんが、

投資ビギナーの方々に於かれては、何がリスクか程度は
一通り目を通して把握しておくべきです。

 
2024年の今年から、いわゆる新NISAが始まり、
投資人口(口座開設数)は昨年末から急増したと聞いており、

様々な投資イベントに
参加者が殺到しているとの報道もあるほどです。

※FNNプライムオンライン(https://www.youtube.com/watch?v=jXMjeL2xftg)よりキャプチャー

それらを裏付けるように2024年の株式市場スタートダッシュは
前年末の相場傾向を無視するかのような急反転を遂げ、

日経平均などは年初から急騰して、
僅か2か月ちょっとの間に8000円に迫る上昇になっています。

こんな状況の中で、

先にリスクを学ぼうとしても、
目の前の相場がドンドン値上がりすれば
エイヤーとばかりに、
踏み切らざるを得なかった方も少なからずと思われ、

とても心配しています。

 
確かに、日経平均は史上最高値を更新し、
40,000円という大台を達成している現状と、

業界がそれを煽っていることで、
踊らされている側面は否めないのですが、

かといってビギナーズラックという言葉があるように、
その無鉄砲な勇気が成功をもたらすこともありますから、
一概に悪いこととは言い切れません。

問題は、例えリスクを把握しているとしても、
重要なのはそのリスクをどうやって管理すべきかまでを
理解しているか?

ということです。

リスクを理解せず投資に踏み切った方は、
今からでも遅くないので内容を確認し、
疑問点があれば証券会社やFX会社に照会するひと手間が
必要ですが、

では、こうしたリスクをどのように管理するか
についてまでは、業界ではあまり教えてくれませんね??

 
一概には言えない難しさもあることから、
せいぜい聞こえてくるのは、

「余裕を持った運用」…であるとか、
踏み込んでも、
「段階的に購入する」…程度かと思います。

これには口座解約だけは免れたいといった
業界事情が見え隠れしますが、

簡潔に言い切ってしまうと、
リスクの管理方法とは「清算」することです。

つまり、投資を維持する限界を予め定めて
損失であろうと利益であろうと
限界を超えた時点で決済してしまい

改めて仕切り直す機会をつくることで
リスクが限定される、というわけです。

 
もちろん細かいテクニックや考え方などはありますが、
それらは別の機会に委ねるとして、

入る時に妙な勇気を振り絞った方々にはどうか、
出る時にも是非勇気を振り絞ってください。

特に、新NISAでは期限が無期になりました。

期限があるということは、

私を含め多くの方々に言える
出る勇気がなかなか出ない人間にとって
最終的にはそこで終われるという点がメリットでした。

一方で無期限は、
止めるタイミングは個人に任されたということになり、

最悪のケースでは、塩漬け人口も増えてしまう事にも
なりかねないと危惧しています。

抽選日で全てが決まる宝くじや
レースが終われば全てが決まる競馬競輪、
閉店時間で強制的に仕切られるパチンコといった

期限があるギャンブル以上に
難しい判断であることは肝に銘じておく必要がありそうです。

 
お仕舞いに、

段階的に購入するというリスクを限定する方法は
メリットがあります。

1000円、2000円、1500円と3回に分けて購入した平均価格は
1500円ですから、一見リスクは平準化されています。

ただ、これだけではナンピンといって、
取引量は既に3倍になっていますから、

相場が1000円下落すればトータルで3000円の損失になり、
ダメージも大きくなります。

ですから方法としては、1回の投資額を固定して
その範囲で買い増しをすれば結果的に、

高い時には少し買い、安い時に多く買うことになり、
取引量のリスクも自動的に平準化できるのでベターです。

と同時に、毎回枠一杯を買い増すというよりも、
毎月積立てる定期預金よりはマシ…
程度の感覚と金額が、先ずは順当ではないでしょうか。

ただし、但しです。

相場が持ち直さなければ所詮は損失ですし、
リスクを皆無にすることはできません。

加えて、年初来の日経平均のように、
買う度に高くなる相場では、買える量も漸減するため、
メリットを享受しにくいこともあり、
無理矢理でも量を増やす行為に陥りやすい場合もあります。

このように、一辺倒な急騰相場はそれ自体に
リスクを内包しており、

このところ、高値警戒感という言葉が散見されるのも
こうした背景があります。

2か月余りで8000円近い上昇があったのだから
50,000円到達も時間の問題
というほど簡単ではなく(100%否定はしませんが…)、

50,000円到達の前に30,000円になる瞬間が
あるかも知れません。

その時にパンクしてしまうような運用では
後々あるかもしれない50,000円を享受できないことを
忘れないでいて欲しく、

この部分をあえて言うなら
「余裕を持った運用」になるのではと思います。

何れにしても、

何時でも運用を止められるという気持ちを
始めた直後から持っておくことが、
何よりも代えがたいリスク対策につながると確信しています。

 
 
浅野 敏郎

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