社員通信

2024年3月末を目前にして心得ておくこと

猫の目のように相変わらず
日々の気温が上下する昨今ですが
皆様のご体調は如何でしょうか。

さて、

3月に入ってからの各相場の値動きに対して
個人的には違和感で溢れており、
実はその対処に苦慮しているのですが、

その最たる原因は、
情報と実際の値動きとのギャップです。

実は皆様が見聞きする金融関係のニュースは
想像以上にガセネタで溢れており注意が必要です。

※出処:「いらすとや」さん

金融のニュースは角度を変えれば
正反対の見方ができますので、
方向が違えばガセネタになり得る点が難しいのですが、

自分なりの捉え方が参考になれば幸いと思いますので
ぜひ最後までお付き合いください。

 
3月末と言えばご存知の通り、
日本企業の多くが会計年度末であるため
各企業の様々な事情が入り乱れて難しい相場になり易い
傾向があり、

それらをネタに短期筋が仕掛けた場合、
振り幅も大きくなるリスクもあります。

あと数日で月末を迎えるこのタイミングは通常ですと
資金の本国送還という、いわゆるレパトリエーションや

機関投資家のリバランスなどで
相場は乱高下しやすいはずですが、

今のところ、そうしたニュースもあまり見られず、
値動きもここ数日は妙に静かな展開です。

 
ところで、レパトリエーションとは、
海外の企業が年度内で獲得し保留してきた外貨資産を
本社がある本国へ送金し
自国通貨で確定する資金の動きを指しますので、

日本の場合は円高に作用します。

また、リバランスとは、
膨大な額を債券や株式で運用している機関投資家は、
どの分野に何割の投資をするかを、
予め決めているのが一般的で、
日本の場合は代表的なGPIFも同様なのですが、

例えば株価が値上がりして株式資産が増えると
運用割合も超過するため、その超過分を売り、
不足資産があればその分を充当したりして
運用バランスを適正に調整することを指しています。

ご存知の通り、GPIFは株価の上昇で
30兆円以上の含み益を発表しており、
このタイミングでのリバランスを普通に考えれば
益出しの売り(株安)に作用しそうです。

こうした前提を確認した上で、改めて3月相場を見直すと
前半は円高、株安 後半は円安、株高となりましたが、

前半の動きは前提とした年度末の動きに合致するため、
あの相場で既に年度末の手当は済んでいる可能性を
指摘する見方もあるようです。

 
一方、月後半の急反発も
個人的にはかなりの違和感がありました。

もちろん、
19日に日銀がマイナス金利政策を解除した事実は
注目度が高かっただけにインパクトはありましたが、
前提としては、
円高、株安が一般的だったところ実際は、
真逆の円安、株高が進みました。

こちらに関しては、事前のリークを含め
織り込み済みだったのは確かでしょうが、
特にドル円相場の前提になっていた円高説については
そもそも懐疑的でしたね。

円高説の真意としては
円金利が上昇しドル金利が下落する流れになれば
金利差が縮小してドル買いへの妙味が薄れ
ドルの売却が進む、というものですが、

事実、アメリカは利下げしていませんし、
日本もマイナス金利は解除したものの
基本的にはゼロ金利に戻しただけと考えれば
実質的な金利差は縮小していないのも事実ですから、

そう考えるといきなり金利差縮小=ドル安円高
というそもそもの前提に無理があったといわざるを得ません。

だとすると、
こうしたガセネタに近い論調がドルロングの焦りを誘い
3月前半の円高で損切に迫られた向きが

中盤以降で買い直していると考えれば
急激な戻しもある程度は理解できます。

 
一方の株式市場ですが、
日本市場の動きはアメリカ市場の影響を受けやすい
ことで有名で、それが一種の前提となっていますが、

3月上旬は日本株が下げる一方で米株は揉み合い、
後半にかけて米株が上昇すると日本株も上昇する流れでした。

日銀のマイナス金利解除報道がリークされ
思惑が広がる中で実際に円高に振れたことなどが
嫌気された日本株の下落は前提通りだった訳ですが

蓋を開けてみれば円高どころか円安が急伸したことや
米株が急騰する動きに連れて買い戻しに拍車がかかった、
といったところが無難な理解だと思い、

文字通り、
「噂で売って事実で買い戻す」状況だったようにも見えます。

 
ただ、両市場の動きを通じて気づいた事は、
3月はメジャーSQ月で、その期日を境に日米市場ともに
転換したり加速したようにも見えることから、

どちらかと言えば、SQ要因の方が主流で、
その他のイベントや思惑は、たまたまタイミングが重なった
オマケだった可能性もあります。

ちなみに、メジャーSQの月は3月6月9月12月で
日本は第2金曜、アメリカは第3金曜で取引最終日は
その1日前ということですので、
覚えておくと今後、役に立ちそうです。

 
株式市場に関して付け加えると、
ここ最近、米株の上昇要因としてドル金利の下落を掲げる
ニュースを目にするようになりました。

直近の米株急騰でもみられた論調ですが
その根拠としては、
金利下落で資金調達コストの負担減が好感された
というもので、これはこれで一理あります。

ただ見方を変えると、
金利の下落はそもそも景況感が悪化している証でもあり
企業活動が弱くなる兆しがあるのに株価が上がるのは
ある意味で矛盾しています。

この相反する捉え方はどちらも前提になり得る理論ですが、
特に市況などで材料視される場合は、
特段の理由が見当たらない際の後付けの根拠になる場合も
少なくなく、

金利下落=株価上昇という一方向からの刷り込みを過信すると
足元をすくわれる可能性もあるので要注意です。

 
何れにしても特にこの時期の心得として、
こうしたニュースなどで掲げられる変動根拠は
先ずは疑って掛かる価値はあり、

特に違和感があった際は、自分なりに確認するか、
確認できるまでは話半分で受け止めておいた方が、
振り回されずに済むと思いますね。

 
お仕舞いに、

3月もあと3日間という今日のタイミングですが、
ここ数日の静けさから一転して、
一波乱二波乱ある可能性はまだ残っていると考えます。

というのも、
月末のレートというのは特に年度末では重要だ
ということを耳にしたことがあります。

理由として、もし年度末を前にして行動を起こし、
結果的に月末レートより不利な形で手当してしまった場合、
受益者に対して説明がつかない…というのです。

ましてや半月も前からというと
部分的なヘッジの可能性はあっても
全力でリバランスやレパトリのカバーに入るという
リスクを取る可能性は低いという訳です。

もう一点加えると、
今年の3月最終週末はイースターにあたります。

2023年は欧州系のファンドが活発だったことを考えると、
3月前半の円高や株安の動きは、
日本の年度末で値動きが読みにくい中、

巻き込まれる前に、
休暇を控えた彼らの部分的な手仕舞いが先に入った
という可能性も充分に考えられますね。

 
ということで、
あと3日間、注意すべきは日本時間午前10時前の
仲値決めの時間帯、

そして欧米市場では
ロンドンフィックスやオプションカットの時間となる
日本時間午後11:00~12:00前後が要注意の時間帯
になりますが、

金曜日はグッドフライデーで欧州市場は祝日ですから
日本市場までと考えた方が無難です。

月が替われば方向性が全く変わることもあり得ますから
心しておきましょう!

 
 
浅野 敏郎
P.S
そして新年度の4月以降も引き続き、宜しくお願い致します。

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