今日は2025年5月21日、5月2度目の投稿になりますが、
昨日あたりから、高騰を続ける米価の話題がニュース等で増えつつあり、放出備蓄米が小売りに回った率が7%といったヘッドラインを頻繁に見る様になりました。
備蓄米の流通先調査が20日、農水省から発表されたのがニュース増加要因のようですが調べてみると、あくまで3月に行った2回の放出計21万トンに対する追跡調査で、外食向けを含めると12%程度、4月に追加放出された10万トンは現在、順次引き渡されている模様でこの調査には含まれていない、という内容でした。
※https://www.jpmarket-conditions.com/1002/より抜粋してキャプチャー
お米の生産から流通の仕組みや備蓄米の運用についてはもちろん専門知識がないため、私が知り得る情報の殆どが2次情報以下の寄せ集めでしかないので真実は判らないものの、こうした発表が事実だとすれば、「この業界の闇も小さくはない…」と、モヤモヤした気持ちになります。
米価高騰の一要因として一般消費者に蔓延しているひっ迫感を指摘する声もある中、確かに流通率を追いかけるのも良いですが、個人的には流通に達していない残り88%の状況を精査して公表した方が、ひっ迫感の解消には効果があると思うのですが、そのあたりの情報は今回投稿するにあたって調べた範囲でもあまり確認できていません。
要は先が見えない米価の高止まりとじり高傾向によって、より不足感が煽られて「あるうちに買っておこう」といった精神的な先物買いが現物で顕在化しているとも想定でき、先々の詳しい状況が見えれば、ある程度のひっ迫感は解消されるような気がします。
というのも、
著名な農業系情報筋によれば、本年6月末のお米の民間在庫が適正水準を超過する見通し…との記事が掲載されており、モノは直ぐそこまで来ているのになぜか流通しないという、「モヤモヤ感」の元凶は正にここにあると考えます。
そんな中で、たまたま株式の銘柄分析をしていた際、ある米の流通企業のデータで、売上成長はさほど拡大していないにも関わらず、利益成長率が40%超を遂げているのを発見しました。
株式業界では昔から、例えば原油価格が上昇すると石油関連株も上昇するという、私にとっては大きな矛盾が常識化していますが、上昇した原価に決まった利益を上乗せしただけでは、売上が増えないと利益も増えないわけですから、原価の上昇で株価が上昇する理由が今一つ理解に苦しむのですが、
それと同様に、コメの売上が大きな成長をしていないのに利益だけが成長するということは、余程の効率化を果たしてコストを圧縮したか、或いは原価の割合で利益が決まっている場合を除くと、仕入れと小売りの間に相当な利益が上乗せされない限り、利益成長だけが拡大するのはあり得ない、と考えるのが順当であり、それを維持するためにある程度の販売調整が暗躍している、とも思えます。
ところで、
つい数年前、コロナが蔓延し外食産業が危機に瀕してお米が余る中、その後のロシア侵攻で小麦価格が急騰した際には、だぶつき気味ですらあったお米を活用すべく、お米パンやお米の麺などが開発、流通する流れがブームにもなっていたと記憶しており、おにぎりブームも発端はここにあったと思っています(上のグラフでわずかに窪んでいる時期)。
それがわずか1年余りでの米事情激変ぶりに、かつてのオイルショック的現象が今まさに起きていることに、「自由経済の法則は、まだ生きていたのか!」と個人的にビックリしている訳ですが、備蓄米放出の決定がなされた際、為替相場に関わってきた私としては、為替介入と概ね同じようなアクションだと直感し、その効果を一瞬期待したのですが、買戻し且つ期限までもが決まっているオプションが付いていることが判った時点で「じゃあ、相場は下がらないなあ…」と感じたことを思い出します。
確かに、実際に流通が不足していたお米そのものを増やし且つ、生産者が悲観しないように配慮した結果なのでしょうが、期限が分かった時点で既にお米がロングになっている買い手は、「それなら暫くは様子見」となるのは自然ですし、少しでも値上がっていれば、政府の買戻しで売り抜くだけで、それはそれで利益にもなる…と誰もが思いますよね。(日本人の主食であるコメが今回の主演なので背徳感は大きい気もしますが、本来の自由取引では普通の出来事であるべきで、長期のデフレ病から回復途上にある現時点でのやり過ぎは、困りますけど…。)
コメ売り介入をする際に、財務省の為替課に介入の極意を聞いた?かどうかは判りませんが、最近になって買戻しの期限を大幅に広げるような発言が出ている一方で、放出米の流通が既に滞っている現状が判ればわかるほど、ポジションを維持しながらの様子見は続くのではないでしょうか。
並行して、米価の適正価格の議論もされている模様ですが、もし今までの米価が安すぎた(実際にそう思います)のであれば、一度上昇した価格は戻りにくく、それでもまだ十分な収益が生産者に出ていないのであれば、もう一段の上昇さえありうることになりますが、さて…。
ともあれ、
そうこうしているうちに、江藤農水大臣の更迭騒ぎが突然と勃発しました。
地方の講演会で、お米は買ったことは無く頂き物が山ほどあるとの発言が、国民感情を逆なでし、ひいては贈賄だの政治資金違反だのと叩かれ始めたのが事の真相のようですが、これまでの農水大臣に比べると比較的若くて実状にも詳しいらしくまた、説明能力も歴代前任者よりは高そうに見える上に、コメ先物取引の再開に尽力したらしい事などから、自給率の向上や日本ブランド力の向上など日本全体の農林水産政策に期待していただけに残念ですが、
もっと嘆かわしいのは、
野党の面々がまるで鬼の首を獲ったかのように、総理の指名責任や不信任決議案だのと騒いでいるところを見せつけられると、野党の最重要目標は与党の失墜だけなのかと、これはこれで絶望します。世論の感情に便乗するのは別に悪いわけではないですが、どうか優先順位を間違わないようにして欲しいところです。
少数与党誕生時、バランス的には期待できる構図だと当ブログに投稿してしまった以上、野党にはもう少し現実的な議論を期待してはいるのですが、大臣を辞任に追いやるのであれば、代わりになる人物を自分たちで担いで国民に訴えるくらいのパフォーマンスすらできないのでしょうか??
そんな人材もいないのであれば、続投に対してより厳格なコミットメントを求め、例えば既に列挙したような問題に対して、早急に落としどころを見つけさせるなどの圧力をかける方が賢明に見え、法規違反云々については、後からじっくりと行えば良くないですかね。
国会の限られた時間で、個別の問題をよってたかって弾劾する愚行は時間の無駄使いである上に、こうした挙動一つ一つがイジメの模範になっているかも知れないことを、議員様全員に自覚頂きたいと思うばかりです。
浅野敏郎
P.S.
米価の問題から、日頃のうっぷん晴らしのような投稿になり恐縮です。
しかし、議員の失言問題は相当以前から頻発しており、もはや個人の資質でどうにかなるような問題でもない気がします。となると例えば、議員を含めた全公務員を対象としたリスク教育組織なりを立ち上げて、倫理観を鍛え直してみるのも一手かも知れませんね(苦笑)。
(同日13:50追記)などと言っているうちに江藤氏が辞表を提出、後任が小泉氏になるようです。早くもゼロスタート大臣の誕生です、期待しましょう!(追記 了)