11月最初の投稿です。
3日は文化の日で日本の主な金融市場も閉場でしたが、
アメリカは今週から冬時間に戻り、アメリカの各イベント時間に対応する日本時間が1時間遅くなります。
ちなみに欧州は、アメリカより1週間早い10月26日から冬時間に戻っており、こちらも対応する日本時間は1時間遅くなります。
10月3日時点のアメリカは依然として政府機関の一部閉鎖が継続しており、通常なら今週末の金曜日に予定されている、
重要な経済指標の一つである米・雇用統計発表に対応する日本時間は22:30になりますが、この調子だと先月分に続いて中止されそうですね。
欧州株や通貨のユーロやポンドを取引されない限り、欧州時間の変更はあまり注目されない印象ですが、特にFXやゴールドを取引する場合は、経済指標予定には表示されない「ロンドンFIX(フィックス)」という重要な時間が存在します。

※apple社のサポートページ(https://support.apple.com/ja-jp/guide/ipad/ipadeb537641/ipados)をキャプチャー
英語のFIXは、例えば「予定などをフィックスする」などのように使われますが、「固める」とか「決める」という意味が含まれており、「ロンドンフィックス」という場合はロンドン市場の値決め、つまり日本の仲値決めに相当します。
日本の仲値決めは毎日の午前10:00に一般公表され、市場ではその数分前にベースが決まりますが、ロンドンFIXは現地時間の毎日16:00です。
アメリカを含む世界の重要な経済指標は大方発表済の時間ですから、日本のグローバル企業でもロンドンFIXを重視する傾向がある模様で、実際に相場は動きやすい傾向がありますが、
もう一つ、経済指標予定には表示されない「オプションNYカット」という重要な時間が存在します。
これは通貨オプション取引における満期日の精算価格決定時間を指し、特にアメリカ市場の「ニューヨークカット」が重要とされており、こちらは現地時間の10:00です。
あまり詳しくはないのですが、通貨オプションの満期日は柔軟性が高く取引所によって異なる可能性があるようなので、日々の10:00はどれも重要な時間として認識しておくと良いかも知れません。
これらに加えて、各国の経済指標発表があるのですからフォローするのは大変なのですが、問題は日本以外の国々ではサマータイム制度を導入するところが多いため、冒頭でも述べたように大きな金融市場であるロンドンやニューヨークの時間に対応する日本時間が進んだり戻ったりしてややこしい点です。
用語解説などをみると、私だけかもしれませんが、現地の生活時間が変わるような印象を持ってしまうのですが、冬時間で08:30発表のアメリカの雇用統計が、夏季時間中は07:30に発表されるわけではなく、冬時間の07:30を08:30として読み替えることで、時計時間は同じでも中身が1時間早まっているのですね。
こうすることで、あらゆる時間表示を変更しなくて済み合理的ではありますが、そのせいで中身が変わらない日本時間の対応を変える必要が出てしまうというトバッチリを受けている、という訳です。
経験的に納得しやすい覚え方としては、冬時間が各国の標準時間ですから、今の各国冬季時間に対応する日本時間を覚えれば、夏季は日本の対応時間を1時間早めるだけです。
つまり標準時間である冬季の今、
ロンドンフィックスは日本時間の翌日01:00
ニューヨークカットは日本時間の翌日00:00
米・雇用統計は日本時間の22:30
と覚えておけば、
サマータイム中は順に1時間早めて、
ロンドンフィックスは日本時間の翌日00:00
ニューヨークカットは日本時間の23:00
米・雇用統計は日本時間の21:30
という訳ですが、私のようにどうも混乱してしまうという方のお役に立てれば幸いです。
さてお仕舞いにこうした重要な時間に対する対処法について、
経済指標などは基本的に発表されるまでは身動きが取れませんが、
ロンドンFIXやNYカットの場合は、これらの発表時間が一つのゴールになるので、それまでの過程が勝負になることは、日本の仲値決めを考えていただければある程度はお判りになると思います。
つまり、発表される値決め価格は、ポジション次第で有利になる場合と不利になる場合がありますから、有利になる参加者はその方向へ順張りし、不利になる参加者はその流れを阻止しようと逆張りする傾向があります。
そして、価格が決まった時点で同時に勝敗も決まるため、利益確定や損切りなどが直後に噴出したり、変動の度が過ぎると新たな逆張りが持ち込まれるなど、値動きが荒くなったり、時間を挟んで流れが反転したりするケースがあり得ます。
また、偶然にもニューヨークカットとロンドンフィックスの時間が近いため、日本の仲値決めよりも駆け引き時間が長く、2つのニーズが一致するケースでは値幅が増長されたり、ニーズが相反する場合は急反転しやすいかと推測します。
何れにしても、実際はどんな玉が飛び交ったかはわかり得ないものの、ポイントとしては、初動、カット後、フィックス後の各タイミングにトレードチャンスがあり得るということですから、トレード時間帯がマッチする方は、カットの1時間前からFIX後の1時間の合計3時間に集中してみると良いチャンスを拾えるかも知れません。
ただし、最近の相場はアメリカ経済指標が完全ではなく、代わりに中銀高官や政治家によるコメント相場化している印象もあり、このようなオーソドックス的なアプローチが機能しにくくなっている可能性を懸念している次第です。
浅野 敏郎
P.S.
それにしても高市相場はいつまで続くのでしょう?重要会議の外遊も一息つき、材料出尽くし感は否めませんが、円売り意欲にしろ株買い意欲にしろ、衰える気配はありません。いずれにしても一つの波動の終点を100%とした場合、今回の波動は上昇する分だけ100%へと近づいている事だけは確かです(当たり前ですが…)。第二波動の押しが深いのか浅いのかはわからないものの、少なくとも心の中でこうした事態をシミュレーションしておくだけでも良い気がしてなりませんが、ビビり過ぎですかね。