社員通信

2026年、酷暑の夏介入に思うこと

8月最初の投稿です。

概ね隔週でお伝えしている当「社員通信」ですが、それでも毎回様々なニュースで溢れ、いつも過食気味です。

前回投稿から実質3週間が経過した中、中東リスクはここに来て僅かに改善しているように見えるものの、一時は相当な危機感を抱くことになり、

また、約10年前に大地震に見舞われた熊本はこの短い間に再び大地震が襲い、

月末から月初にかけては、15年振りと言われる日米協調介入が実施されるなど、

「ちょっと待って!」と言いたくなるくらいの重大なアクシデントが次々と発生しています。

※産経新聞WEBサイトより当該ページ(https://www.sankei.com/article/20260803-XPJEATTDZNPKXKGLACMOD5X43M/)の冒頭をキャプチャー
 
協調介入についてが今回のメインテーマですが、ネットでは既に様々なメディアや組織から見解が寄せられており、皆様も是非ご一読されると良いかと思います。

本題へ移る前に先ず中東リスクについて、

一時は「○○日連続でアメリカがイランを攻撃」というニュースが飛び込んで来るほど事態は悪化する中突然、停戦が発表されるなど、こちらも予断を許さない状況が続いています。

今回の和平への条件も記憶が正しければ「ホルムズ海峡の完全開放」と「核開発の断念」という、イランにとっては根幹を成す争点であり、個人的にはイランが簡単に呑める代物ではないとの思いから、お互いにつかの間の時間稼ぎに終わる可能性を懸念しています。

イラン情勢に関しては、私たち一般人にとって一次情報から事実を知る機会はかなり限られていますが、投資の知識がある方々にとっては取引をするしないに関わらず、今回は原油相場が一つの指標になっていることはご存知かと思います。

具体的な投資を念頭に置かなくても、投資を学ぶことの意義がここにも示されている訳ですが、

※TradingViewチャートをベースに作成

3月初日の急騰はアメリカとイスラエルの合同攻撃を受けたもので、その後の高値を付けた背景はホルムズ海峡封鎖がイランによって宣言された週明けでした。

以降、事態は紆余曲折を繰り返しながらも停戦合意が実現し楽観視された結果、6月末には急騰前の水準に迫った訳ですが、合意の条件が合わず徐々に事態が悪化して先の連続攻撃に至って原油価格は再び上昇…などのように、

実際に起きている事実の重さや市場の受け止め方は正に原油相場に映し出されるので、実際に起こった事象がどれだけ重要視されているかは、市場を見ていれば大体を推し量れる場合があります。

この意味で、先週末に伝わった「イランをこの世から消す攻撃」の中止に対する市場の反応はどちらとも言えない状況であることから、市場はまだ疑心暗鬼だと言え、先の個人的な懸念に至ったという訳です。

 
さて、本題となる今回の協調介入ですが、

私としても大きなサプライズであり、間接的であれユーロ円で円買い介入をした報道には当初、何かの間違いでしょう??と疑いもしました。

その後、出てきた幾つかの記事を見る限り、円を買うために売るドルを対ユーロで調達したらしい事が分り、それなりに納得した訳ですが、幾らFRBとて無断で他国(今回はECBですが)の通貨を売るとは考えにくく、例えユーロドルを市場で売らずに借りてきたとしても、ECBはこの作戦を事前に知っていたとすると、日米の枠を越えた日欧米の強調介入の可能性が強まります。

個人的に、介入の事実を悟ったのは30日の夕方で、高市総理が消費税減税を表明した日の事でしたが、減税発表と抱き合わせた行動に「なるほど」と納得しつつ、「単発での限界はこんなもの」と高をくくっていました。

異変に気付いたのは31日の朝3時頃、ふと目が覚めたのでチャートを確認したのですが、ドル円の下値が広がっており「ニューヨーク市場でも入ったか」程度でしたが、他の対ドルチャートでもドル安が進んでいたことに、かなりの違和感を覚えた訳です。

通常の単独介入であれば他の対ドル通貨への影響は限定的なところ、今回はドルが全面安になっていたのが違和感の原因だったのですが、前日のFOMCを受けてユーロドルなどは既にドル売りが進行しており、寝ぼけた頭にはここが盲点でした。

その後の報道で、アメリカの財務長官と日本の財務省の利害が債券安の阻止という観点で一致したと言われていますが、今回の協調介入後の事実だけを見れば、

※TradingViewチャートをベースに作成

アメリカの債券安は短期債券(紫の折れ線グラフ)こそ若干の動きはみられるものの、10年債(青の折れ線グラフ)共に劇的な動きは無く、かえってドルが全面安になっている分、

今のところは、アメリカの輸出競争力を高めることと円安阻止の利害が一致したと翻訳でき、債券安への効果については暫く様子見が必要に思えます。

そもそもの債券安の流れはアメリカから始まったと認識しており、アメリカの債券安が止まり、金利上昇が見込めなくなってドルが売られるか、そのドルが米債市場へ流入するシナリオが自然です。

今後のドル円相場について一部のメディアが騒いでいるように、日米協調介入は確かに円安一辺倒の潮目が変わる可能性を秘めてはいるものの、ドル安円安というシナリオは排除できませんから、

今まで通りの、何があっても円だけは売りというシナリオは確かにやや崩れつつある中で、ユーロドルでのドルの強弱(赤と緑のローソク足)は、先に推測した自然なドル安なのかを見極める、一つの指標になるかも知れませんね。

 
お仕舞いに、30日から3日にかけてのドル円下落は介入が主要因ではあるものの、冷静に考えると月末月初であり、介入以外での損切や利益確定売りもかなりあったと推測でき、少ない実弾でより大きい効果を生んだ、という意味での意表を突いたこのタイミングには、正直「してやられた」感が強いです。

個人的な相場観は一気にニュートラルになったのは事実ですが、日本の本音は「これ以上の円安は望まないけど、完全に円高反転するのも困る」だろうと推測すると、先ずは大きなレンジ相場を想定せざるを得ない状態です。

FRBが言う「外国・国際通貨当局向けレポ・ファシリティ」の拡充とはいかなるものかを見守りつつ、捕まっている私的なドルのロングをどう処理するか、頭が痛い日々が続きそうです。

 
 
浅野 敏郎
P.S.
IMFによる自由変動相場制の定義における市場介入について、6か月以内に3回、1回は3営業日以内という事実が先の連休介入時に周知されました。今回は3日に介入があったとして3営業日目が終わり、本日5日がバリューデート最終日です。既に半年縛りの3回は2回を使い切ったことになり、もしもう一段押し下げる駄目押し介入をした場合、10月が終わるまで行動しにくいことになります。そう考えると「最後の交代枠」はギリギリまで温存 するとすれば、日銀の大幅利上げなどが無い限り、3日の安値155円台前半は当面の限界下値と仮定して対策する予定です。(8月4日15:00記)

4日夜のとあるニュースでは、米財務長官が日銀に対して利上げを促すコメントが取り沙汰されています。そう来るだろうことは何となく感じていましたが、アメリカとしては債券安が是正されず、ドル安だけが進行する事態だけは回避したいという本音が見えた気がしています。(8月4日23:00記)

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