トランプ政権が早速、ウクライナ戦争和平に向けたアクションを、先ずは侵略者たるロシアとの対話という形で開始しました。
EUやウクライナはロシアの侵略を受けた側のウクライナ抜きの会談に対して批判的な解釈をしており、心中は察し得るものの、先ずは対話の扉を開く際は個別の言い分などを聞き分けるステップが妥当にも思え、次はロシアを抜きにしたウクライナとの対話があるものと信じたいところです。
イギリスを含めたEU側は緊急会議を開くなどの対応を始めましたが、例えば停戦以降に和平維持のための派兵に積極的なフランスやイギリスに対して、消極的なドイツやスペインなど一枚岩ではない部分を早くも露呈しているようです。
※NHK NEWS Webの当該報道をキャプチャー
トランプ政権の和平に向けたアクションの成否については誰にもわからない現状ですが、誰が見てもどんな理由があっても侵略した方が悪いのが常識だと思える中、プーチン氏には悪者で終える選択肢は無いはずですから、交渉は長期化することが予想されます。
何れにしても、和平に向けた交渉が見られただけでも大きな進歩だと受け止めたいところです。
さて、年初にはユーロドル相場に注目している旨の投稿をし、当時での簡単な現状把握を致しましたが、もう少し具体的なキーレベルなどを整理したいと思います。1月8日の投稿も参考にしながら最後までお読みいただけると幸いです。
先ずはじめに、現在の相場位置について一目均衡表を見ながら月足(左)、週足(中央)、日足(右)で観察してみると、
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月足と週足は共に先行スパン(雲)の下側で推移していることから、大きな流れは下向きを指しています。
日足は先週の上昇で先行スパンの中へと入り込みやや方向性に欠けますが、2024年10月以降からそれまでは先行スパンの下側で推移し続けていましたので、今の状態であればまだ下向きのバイアスが優勢だと考えます。
ただ、この水準で推移を続けると、3月以降には先行スパンの上に出ることが判っており、そうなった場合は継続的な売り目線は一旦、仕切り直しになります。
では、月足チャートで具体的なキーレベルを見ていきますが、
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以前にも書いた通り、ロシア侵攻を受けた2021年後半から22年に掛けたユーロ売りで付けた安値0.9536水準は、史上最高値以降の最安値です。
22年後半で、この大きな下げ波動の半値戻しを達成した以降、約2年間揉み合って今に至る訳ですが、将来の先行スパン上限が水平推移する1.0726水準は正に「この大きな下げ波動の半値」を示しており、2年間の揉み合い上値のザックリした重しになっていたように見えます。
波動を把握しやすいようにZIGZAG指標を表示していますが、見えている各ピークはそのまま今後のキーレベルでもあり過去10年間を見た場合、
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現在値の下方に位置するサポートレベルは圧倒的に少ないこともお判りいただけると思います。
視点を近場に置きますと、過去5か月の下落は先の「大きな下げ波動」以降で次に長い下げ波動になっていますので、現状で反発気味の相場が継続した場合に、その半値(転換線)1.0695水準はキーレベルであることに加えて、
23年高値と24高値は概ね同水準だったことで、基準線もほぼ同位置の1.0726水準にありますから、この1.07前後の水準はそれなりの節目になり得るでしょう。
また、25年1月足はトランプ政権初月だった訳ですが、結果は上下に長めのヒゲを付けた十字足となり方向感は出なかったものの、寄り引き同時水準の1.0355付近は1月足をどちらかに抜けるまでの、騰落分岐になる可能性がありそうです。
この水準で言えば、下押し最安値からの戻し波動の半値1.0406水準もキーレベルの候補で、そう考えると現在位置から程近い1.0350~1.0400水準には割と多くのキーレベルがあったことから、想定以上に底堅い現状の要因なのかも知れません。
ではここまでの主なキーレベルのまとめとして、レジスタンスを青、サポートを赤、一目関連を緑で区別して表示したものを活字で一覧しておきます。
1.1275(23年高値)
1.1214(24年高値)
1.1139(23年2番高値)
1.0942(月足先行スパン上限)
1.0879(19年安値)
1.0726(月足基準線)
1.0695(月足転換線)
1.0636(20年3月安値)*2
1.0587(月足先行スパン下限)
1.0539(15年2番安値)*3
1.0462(15年安値)
1.0450(2月19日06:00現在)
1.0406(23年前後の戻り半値)*4
1.0355(25年1月終値水準)
1.0340(17年安値)*1
1.0177(25年1月安値)
1.0106(1999年7月安値)
1.0000(パリティ)
0.9536(22年安値)
月足の分析で日々のトレードに役立つの?
と思われても仕方ないのですが、キーレベルを残したままチャートを日足に切り替えてみますと…
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左端から引かれているレベルは可視範囲より過去のキーレベルですが、全てではないものの幾つかはその後の騰落に影響しているように見えます。
例えば、2024年11月22日安値1.0334は17年安値1.0340(*1)と近似値、2024年12月6日高値1.0629は2020年3月安値1.0636(*2)と近似値、2025年1月27日高値1.0533は2015年2番安値1.0539と近似値など、数年を経たキーレベルが僅か10pips前後で一致するのは、偶然以上のものを感じざるを得ません。
また、日足で3月以降から水平推移する先行スパン上限1.0403は、2023年前後の戻り半値1.0406(*4)と近似値であることから、過去の重要な波動の半値(中央値)は、現在の相場の中央値を予め示唆していたことにもなり、つまりは影響をしている裏付けだと考えています。
この分析をトレードに活かす際の要点は、どのレベルを選ぶか?という事ではなく、予め座標にデザインしておくことで、トレードする時間軸で見える目先のキーレベルを把握し、ノープランになりがちな損失幅や利益幅に対して、その都度のマイルストーン(目安)とします。
皆さん各自が得意とするテクニカルと併せれば、ある程度の精度向上に役立つものと確信致します。
浅野 敏郎