社員通信

1次情報のススメ

7月最初の投稿ですが、いよいよ2025年も半分が経過し後半に突入する中、普段であればまだまだ梅雨真っ只中であるはずが、本日の関東地方はややその匂いはするものの、このところは真夏の日光が降り注ぎ、気温もまさしく真夏の日々が続いていました。

海の日である7月20日は、まだ梅雨明けしていない年も過去には多く、「海の日はもう少し遅い方がふさわしいのでは?」と何度も思った記憶がよみがえりますが、この調子だと今年は「海の日って遅すぎない?」となりそうです。

7月20日と言えば、参院選の投票日に決まり、早速「連休なか日に設定するのは、若者を中心とした無党派層の投票率が下がり、組織票や保守的高齢者が多い与党有利になる」との批判が聞こえています。

3日が公示日なのでまだギリギリ間に合うこのタイミングで一点だけ思うことは…
食品の消費税に関する議論について、与党が言う財源云々については論外だとしても、一方の野党の多くは税率引き下げや廃止論を前面に打ち出してはいますが問題は、

「減税分や廃止分の小売り価格が本当に正味で引き下がるか?」という点です。


※TBSNEWSDIGの動画記事(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2011540)をキャプチャー

確かにいつも同じ食品を購入している場合や、私で言えばアルコール類についての税抜き価格は大体把握できますが、特に生鮮食品を中心とした比較的価格が流動的な食品は、本体価格の実体を把握しにくく、増してや四半期ごとに様々な加工食品の価格が値上げされる状況では、税抜き価格を正しく売値とするかしないか以前に、正しく価格反映させたところで消費者へのインパクトは見積もりより遥かに薄くなる(期待したほど実感できない)ことは、およそ想定できるでしょう。

消費税が減った分、値上げで帳消しか更に値上がりしている…なんてことにもなりかねませんから、それを覚悟したうえで本当に今、日本に必要な政策を皆さんが見定めて投票に臨んで欲しいと思います。

 
さて相場の方は、タリフマンが依然と猛威を振るう中で何故か米国株が堅調です。

また日本株も好調で、ここ数日はドル円が円高気味に推移する中でも日経平均は4万円に乗せてもまだ、目立った反落を見せていません。

さすがにここ二日間は利食いやレンジトレードの売りで若干上値が重い訳ですが、欧州も含めて外国株が今後も底堅ければ、日本株も連れるほかないでしょうね。

円高、株高は非常に良い傾向かと個人的に思っていますが、この傾向の一因として、タリフマンが再びFRB議長の辞任を迫るなどここ数日は利下げ圧力が強まり、それを歓迎した米株市場が上昇して他国市場をけん引し、それを嫌気したドルが売られ円高気味に推移する一方、アメリカ以外の株式市場はアメリカに連れる形で上昇している…といったところでしょう。

にしても、ここ1週間の値動きは月末、期末、月初、期初要因が絡んでいたとしても、方向は決済ではないようにも見え、だとするとそれなりに大きなフローが入った可能性を考えつつ相場を見ていきたいと思っています。

FRB議長が辞任するかどうかはさておき、このニュースで一時は7月利下げ説まで囁かれた訳ですが、私たち一般投資家が噂やヘッドラインに踊らされないためには、1次情報を確認することが一つの支えになります。

1次情報とは、誰かの二番煎じではなく直接の情報源を指しますが通常、一般投資家がリアルなロイターやブルンバーグの端末を見る機会は無く、増してや英語が中心の1次情報に触れる機会は限られてしまいますが、

そんな数少ない1次情報の中で、アメリカの政策金利を予測する「FEDウオッチ」があります。

「FEDウオッチ」という言葉程度なら聞き覚えがあるとは思いますが、要は次回以降のFOMCで政策金利(FF金利)がどうなると投資家が見込んでいるかを、金利先物市場などのデータから示したもので、FEDウオッチ自体は複数存在していると記憶していますが、一般投資家がアプローチしやすいもので、CMEグループのツールがあります。

※CMEグループのWEBサイトにあるFEDwatchページ(https://www.cmegroup.com/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html?redirect=/fedwatch)をキャプチャーし、説明のために若干の加工を施しています

以前にも簡単にご紹介した記憶がありますが今回は基本的な説明を加えてみます。
ページにアクセスすると先ず表示されるのが、この次回会合の見込みデータです。

①会合の日付はこの部分で確認でき、先々の分はボタンを切り替えることで閲覧できますが、あまり先のことは不確実で流動的ですから参考にはなりにくいものの、年末のデータ(下方で掲載)では現在値より100bps下のゾーンにベットが見られ興味深いところです。
bpsとはベーシスポイントと読み、100分の1%が1bp(0.01%)に相当します。

②現状の政策金利はここの(Current)で確認できます。
その他、どの程度の利下げ或いは利上げを見込む率がどの程度かが見られ、右に行くとその過去遷移が確認できます。月末月初で0.25%の利下げ見込みが3%程度増えており、先の相場想定を裏付けてはいます。
次回分の期限となる7月30日会合までにこの率がどのように動くかで、7月利下げ説の確度が判明してゆくことでしょう。

②の「NOW」状態を棒グラフにしたのが本グラフで、0.5%の利下げ見込みは消滅したため、棒は2本のみとなっていますが、

※CMEグループのWEBサイトにあるFEDwatchページ(https://www.cmegroup.com/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html?redirect=/fedwatch)から12月10日会合分を表示してキャプチャー

年末会合分は5本立っていて面白いです。
先過ぎてせいぜい興味本位程度が無難ですが、現状維持を見込む率は今のところ0.6%しかおらず、大多数が少なくとも年内残りの4会合中には数回の利下げを見込んでおり、利上げ見込みは皆無だということだけは見て取れます。

 
以上がザっとした見方ですが、直接トレードに活かせるかどうかは難しく、少なくとも相場変動の根拠にされた場面では、実際に真偽を確認して騙されないこと程度なら、可能性はあり得るかと思います。

また、7月のアメリカ雇用統計は金曜日ではなく、明日3日木曜日(日本時間4日早朝)に前倒され、前日発表のADPも本日2日水曜日に前倒しになりますので注意が必要ですが、夏休み前の最大イベントでFEDウオッチもどう動くか、興味深いところではありますね。

最後に、当ツールの免責事項をGoogle和訳した文章を掲載しておきます。

「免責事項:本ツールのデータおよび出力は、投資助言を構成するものではなく、CMEグループからの個人的な推奨でもありません。本ツールの内容は、先物またはオプションの売買を勧誘するものではありません。本ツールを用いた投資活動は、投資家ご自身の責任において行ってください。CMEグループは、本ツールに含まれる情報の使用または解釈(閲覧者によるか、他者によるかを問わず)について、一切の責任を負いません。本情報に基づく決定は、投資家ご自身の責任となります。本ページを閲覧した者は、当該情報に基づいて行った決定から生じる損害賠償請求に対して、CMEグループおよびその関連会社およびライセンサーを免責することに同意するものとします。」

 
 
浅野 敏郎

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