社員通信

倍速視聴を考える

みなさま、はじめまして。森山と申します。

いつ頃からでしょうか、夏休みを前にすると無性に本が読みたくなります。
仕事柄文字に触れる機会は比較的多いほうですが、それでも普段は一冊の本を読み切る時間は確保できていません。
夏休みだったら時間あるし、読みたかった本もまとめて読めるでしょと謎の期待が先行し、ポチってしまうのです。
更に悪いことに今年から電子書籍デビューの私。これまでは読みたい本が積み本として空間的に把握できていたのですが、
電子書籍になってからはこれら積み本の存在はデバイスを覗かないとわからない。
これには困りました。電子書籍の意外な落とし穴でした。

さて、そんな中で最近私が読んだのは
「映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形 」(光文社新書) です。

なぜこの本を手に取ったかというと、私も早送りで観てしまうようになったから。
実は私の自宅にはテレビがなく、普段は主にYoutubeを観て過ごしています。
登録チャンネル数は200超え。要するにゆっくり観てるヒマがなく1.5倍速がデフォルトなのです。
皆さんの中にも動画を早送りで観るという方は意外と多いのではないでしょうか。

そうはいっても流石に映画は…と思っていたのですが
最近ついに等倍で流れる映画に違和感を感じるようになってしまいました。
いよいよ私もこの本に該当する人間になったか、と少しばかりショックです。

あらゆるコンテンツが無料で大量に観ることができ、私たちはたくさんの情報を得られるようになりました。
あれもこれもと面白いものに手を出すと、あっという間に時間が無くなってしまいます。
この本でも触れられているように『コスパ』『時短』を考えると、早送りで観るのは必然的だと言えます。
本ではこの後に『タイパ(=タイムパフォーマンス)』の考え方にも触れています。

そこで考えるのが『そんなに慌てて観た結果、何が残るのか』です。
知識欲が満たされる満足感。確かにそれは答えのひとつだと思います。
でも動画を倍速で観た結果、内容って頭に残りますか?
私は恥ずかしながら、内容はほぼ残っていません(笑)
あくまで個人の感覚ですが、理解力(+記憶力も)については動画の倍速と関係ない気がします。
動画を早く見終わったところで頭が良くなった気は全くしませんし、毎日毎日たくさん動画を観ることで、記憶からも消えていきます。
そのくせ動画の本数だけは見ているので「なんかわかる気がする」という謎の自信だけ残るという、厄介な側面も(笑)
コロナ禍でたくさんのセミナーがオンラインで、なおかつ録画視聴も可能になりました。
ついセミナーを見ただけでわかった気に、出来る気になってしまいがちですが、そんなことはないことを声を大にして言いたいのです。
本のタイトルにもある通り、それはただのコンテンツ消費ですよね。

だから何かのスキルを身につけたいと思ったとき、例えば初めて投資をやってみる・これまでやってこなかった投資商品にチャレンジする時などは、この視聴スタイルはまずい、ということになります。
投資に限らず何かのスキルを得るためには、わからない箇所があれば何度も復習、時にはテキストを使ってのインプット、そして実際手を動かして
実践し成功や失敗などのアウトプットの繰り返しを経る必要があります。動画であれば、わからないところを繰り返し見ることが可能ですよね。
なにも倍速が悪!というわけではなく、目的によってうまく使い分けることでより良い学習ができると思うのです。

…と何か偉そうに書いてしまいましたが、これは私自身に対しての戒めでもあります。
長らく倍速生活の私にとって、染み付いた習慣はなかなか取れず…反省です。

書籍はとても面白いので、ぜひご興味あるかたはご一読ください。

森山

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