社員通信

電力会社の一斉値上げ…理由がお粗末

本題へ入る前に、前回投稿からのドル円相場概況を少し。

 
直近の投稿だった6月21日のドル円は141.28円を安値に、
そこから7陽連の上昇となりました。
(7陽連とは、陽線が7本連続したということ。日足なら7日連続)

四半期末の30日は、145.07円の高値から反落して陰線で終わり、
以降は今のところ144円~145円の間を基本に揉み合っています。

政府関係筋からは速度が速い円安について、
不快感がしばしば聞かれるようになっており、
市場には円買い介入に対する警戒感が広がりつつある、
といった状況です。

※チャートはイメージです
 
投資の学校には平野朋之先生を講師とする「The Catch」という
コミュニティ講座がありますが、
実は私も微力ながら、メンバーのサポートをしています。

直近のライブ講座では介入について見解を聞かれ、

円安スピード次第ではあるものの、145円は限が良い大台節目
であることから、
この水準を一気に抜けて、7陽連の勢いを継続するようなら
介入出動もあり得る旨、申し上げましたが、

直近の3日間と期間はまだ短いものの、
今のところ145円台には警戒感がある事が確認でき、
介入も実弾投入までには至っていない状況です。

 
さて本題ですが、

梅雨も明けそうな昨今、早くも政府から節電の要請があるなど、
やっとコロナの影響が和らぐなかで、
依然としていつも何かの制限が付きまとうといった
見えない閉塞感を感じています。

電力不足を見据えてか、本年6月度の電気料金から
とうとう大幅な値上げが実施され、その請求が今月7月から始まります。
値上げされて節電…というのも納得しにくいですね。
(脱炭素という側面では賛同ですし、しかたない話ではありますが…)

※出典:アットダイムさんWebサイト(https://dime.jp/)よりキャプチャ

当初の申請内容よりも大きく値上げ幅が抑えられたという報道も見られ
申請見直しを迫った政府の働きかけは評価に値しますが、

立ち戻ってよく考えてみると、
申請側である電力会社の、当初のザル申請は一体、何だったのか?
と疑ってしまいます。

脱酸素、SDGなど電力会社側が変革期であることは理解しますが、
概ね異口同音となっている
「エネルギー価格の高騰に円安が追い打ちとなって…」
という値上げの根拠に対して、

少なからず投資に興味を持っている読者の皆さんの中には
違和感を持っている方々もおいででしょう。

 
というのも、そもそも簡単に言ってしまえば
エネルギー資源を仕入れ、
それを燃やしたエネルギーで起こした電気を
製品として売っているのが電力会社だとするなら、

仕入れのほぼ100%を占めるエネルギー資源無くして、
そもそも商売にならない電力会社は、
仕入れの量の管理はもちろん、
価格の管理は当然すべきに思います。

つまり、世界には原油市場、ガス市場、為替市場という
れっきとしたヘッジ市場が存在していますから、
モノで貯蔵が効きにくいとされる、こうしたエネルギー資源を、
相場でヘッジしていく努力は、100%は無理でも、
出来る限りのことはすべきだと個人的に思ってしまいます。

 
電気・ガスなどの光熱費が値上がると代替手段がないために、
仕方なく小売りに転嫁せざるを得ない一般的な産業ならまだしも、

電力会社から、かの理由を何度も聞かされると、
「価格の対策は何もしていません、業者の言いなりで買ってます…」
としか聞こえず、

ただ世の中の同情的な理由を前面に押し出しただけ
という印象しか残りません。

東北大震災後の2012年の値上げの際も、
原油の高騰を根拠にしていたことが思い起こされますが、

当時の某電力会社が値上げに用いた原価計算のレートは
原油が1バレル117ドル
ドル円が1ドル78.5円
LNGは1トン860ドル

 
そして同社の今回の計算レートは
原油が94ドル
ドル円が138.80円
LNGは955ドル

 
こうしてみると、原油は逆に下がっていますよね。
しかも2012年の値上げ以降、原油は一度も117ドルを付けず
概ね100ドル以下で推移。
コロナで0ドルを付けた後のリバウンドでも
120ドルが瞬間的に数回程度です。

ウエイトが上昇してきたNLGは確かに上昇はしていますが、
前回値上げ以降は概ね半額程度で推移しており、

どちらも相当水増しされたザル計算だったと言えそうです。

 
但しです。

 
日本円での調達となると、
各エネルギー資源のドル価格が同じとしても
ドル円レートだけで前回値上げから77%値上がりしたことになり、
一大事であることは伺えます。

つまり、
日本において相当大規模な輸入業者と同等であったにも関わらず、
為替の管理が全くできていなかったと言う他ありません。

「いや、私たちは直接、輸入はしていなので…」
という声が聞こえてきそうですがwww、

そんな調子で行けば、
円安傾向が続く限りは無限に電気料金は上昇するのだと
私たちも覚悟を決めないといけないのかも知れません。

 
お仕舞いに、
もし各電力会社において、既に仕入れ価格管理の努力を
されての結果であれば、今回の暴言を予めお詫びいたします。

時間の関係上、各資料を読み込むまでには至りませんでしたが、
文調からも製品としての電力ベースの記述が多く、

あくまで発電事業者という匂いしかしてこなかったので
消費者の立場から、その危機感を記述致しました。

 
 
浅野敏郎

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