社員通信

8月のアノマリー

昨日から8月となり、いよいよ夏本番…
と言いたいところですが、

7月が異常な暑さの毎日が続いたことで、
既に暑さには疲れ果てており、

「そろそろ止めてくれー!」
と叫びたくなりますね。

※https://gooddo.jp/様サイトよりキャプチャー

昨日の横浜地方は久しぶりの降雨となって
半日でしたがとても涼しく過ごせましたが
7月中は一度も雨は降らなかった印象があり、

日本各地で起きていた水害に対しては、
実感がわかないほどのギャップがあったと
記憶しています。

 
さて、8月は世界的にも
サマーバケーションということで、

金融機関の外国為替取り扱いも
取引先や機関投資家が休暇となるため、
いわゆる「夏枯れ相場」といって

取引全体が世界的に細って動きも少なくなる
とされています。

 
一方で、
長年に渡って市場と接点を持ってきた私の印象は、
この時期は円安になる印象が強く、

その理由としても、
日本の実需は原則、外貨買いなので
積極的な取引が控えられるこのシーズン中でも
一定の買い注文が存在し、

逆に投機的な売りが控えられることで
底堅くなる…

という正論まで存在します。

たしかに、当時は円高で海外旅行は非常に有利だった中、
海外旅行へ行きやすい夏休みや年末年始の時期には
なぜか不利な円安が進み、

「何か損した気分」を味わった方も
多かったのではないでしょうか。

そこで、真相はどうだったのか
2000年以降の7月8月9月のドル円相場を
月足で振り返ってみました。

 

別ウインドウで開く
※TradingViewチャートを使用

オレンジで囲んだ3本連続した月足が6月~9月になります。
これだけでは良く分からないので
独断でこんな分析をしてみました。

2000年から2022年まで8月単独の陰陽は
陰18か月陽8か月と、
少なくとも2000年以降では、
自分が抱いていた8月円安説は否定されました。

2023年の7月は既に陰線で決まりましたが、
期間中の7月の陰陽は11対12で、今年を入れると
12対12と五分五分かつ、

2023年7月8月9月のパターンは
陰‐陽‐陽 2回
陰‐陽‐陰 3回
陰‐陰‐陽 2回
陰‐陰‐陰 4回
の4通りに絞られたことになりますが…、

実は偏った結果は確認できず、検証は空振りでした。

 
ただ、4回あった3陰連の出現年数を確認すると、
2020年以外は、まだ超円高時代の末期にあたり、
2020年は、かのコロナショック代表年でもあることから

悲観的な円買いが背景としてちらつくことを考えると
2023年のこの3か月が陰連となる可能性は低い気がします。

もちろん、各年の金利背景や景気、世界情勢は個々違うため
元々このようなパターン分析は意味がないとも思われますが、

夏枯れ相場の傾向として
当該期間の値幅が小さいことは充分確認でき、
しっかりした方向性が出た年度も限られている
ことが判明しました。

一方でこの夏期間は、
各波動のピーク近くにあるケースが多い傾向が読み取れ、
第三四半期以降の相場に向けて節目になっている気もします。

皆様はどんな印象を持たれましたか?

 
ではお仕舞いに、
奇をてらったものではない通常の相場観で締めくくってみますね。

月足ついでに当初の月足チャートで見てみますと、
(別ウインドウで開いてみてくださいね)

アベノミクス以降の大幅上昇は48.72円の値幅を伴って
2015年に125.85円という一旦のピークを打ちました。

直後の反動安である2016年6月の98.78円が
以降の押し目のピークとなり、
その後の数年間はこの間で揉み合ったことになります。

実質的には2022年4月の125.85円越えで再上昇が確定し、
昨年2022年10月の介入直前高値151.944円を付けた訳です。

多少こじつけになるかもしれませんが、
この再上昇波動の起点を
2020年3月のコロナショック安値に置いた場合、
その上昇幅は151.94-101.18=50.76円

そしてアベノミクス後の上昇起点を
少し前の2011年大震災年の史上最安値75.56円とすると
こちらの大幅上昇は125.85-75.56=50.29円となり、

この2回の大幅上昇規模は50円余りで概ね一致しています。

 
加えて大幅上昇直後の押し幅も近似しているなども考えると、
介入前高値を、このままストレスなく超えていけるエネルギーは
未だ無いと考えた方が自然です。

だとすれば、介入後の下落波動を最大値として基本に置き、
今後幾度か繰り返すだろう一つ一つの波動と、
時々の価格の位置を確認しながら
難しい揉み合い期間を耐えるという展開を想定しています。

例えば、
2023年8月初時点の水準である143円台は、
基本に置いた最大値幅の半値以上に位置しており、

また上半期の上昇相場の半値136.14円よりも上であることから
揉み合い期間中である中で底堅いことが判ります。

現時点ではドル高バイアスがかかっていると判断しますので、
ロングのストップロスや押し目買い水準として役に立ちそうな
目ぼしいサポート水準を
長文の最後までお付き合い頂いたお礼として挙げておきます。

・142.08円前後
・141.15円前後
・139.59円前後
・137.30円前後

もちろん細かいところでは、
1本前のHLや直近波動のHLなどは短期トレードの目安になります。

目ぼしい高値越えでストップ買いする戦略もありですが、
長い揉み合い期間を想定していることから、
直ぐに伸びないようであれば、最低でも持値では一旦手仕舞いし、

押し目買いの機会を狙った方が
展開的に有利なイメージを、個人的には持っています。

さて結果やいかに、楽しみです。

 
 
浅野敏郎

P.S.くれぐれもご体調に留意されご自愛ください

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