9月も下旬に入りました。
このタイミングで、
個人的には誕生日を迎えて62歳をヒットしてしまいました。
日々があっという間に過ぎ去る中、
年々言うことを聞かなくなる身体に若干の恐怖心を覚えつつ、
以前より増して、今という時間を楽しむように心がけています。
さて、日本を除く世界の先進国は急激に進むインフレ対策として、
概ね昨年から政策金利を引き上げるスパイラルに突入しはじめ、
直近の米・英・ユーロ中銀が発表した金利水準やその足跡などは
次の通りです。(調査資料:Investing.com)
アメリカ
2023年07月 5.5%
2001年01月以来の水準
2022年03月に0.25%から0.5%に利上げして以降、
途中1回の据え置きを挟んで12会合連続利上げ
イギリス
2023年08月 5.25%
2008年04月以来の水準
2021年12月に0.1%から0.25%に利上げして以降14会合連続利上げ
ユーロ
2023年09月 4.5%
2001年08月以来の水準
2022年07月に0.0%から0.5%に利上げして以降10会合連続利上げ
※ラガルドECB総裁
9月14日利上げを決定したブルームバーグニュース
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-14/S0ZIHDDWLU6801 よりキャプチャー
こうして改めて眺めてみますと、
短期間で大きく利上げしてきた経緯が伺えますので、
このところの報道が過敏気味になっていることは理解できます。
つまり、どこまで利上げされるのかは神のみぞ知る部分ですが、
どこかでピークを迎えることは必然だとすると、
利上げの階段を一歩上がるごとに、確実にピークへ近づいている
ことだけは事実ですからね。
ただ問題なのは、
ほぼ憶測に近い意見や一部のデータなどを切り取って
相場変動の理由を探すエコノミストやストラテジストのコメントが
ニュース化され、
そのヘッドラインを読み取ったAIトレードなどが
力ずくで相場を動かしている可能性が疑われることです。
その最たることとして、
上の資料からも言えるように各中央銀行は連続利上げの最中である
にも拘らず、
利下げ云々と言ったコメントが
マーケットニュースなどから既に見聞きされること自体、
もはや相場操縦に近いと言えなくもなく、
もしかするとグルになって相場差益を狙っているのかと
疑いたくもなります。
ですから、
ここは少し冷静に対応することが求められるステージ
に思えます。
確かに、皆様が保有しているポジション状況によっては、
切りたくなくても切らざるを得ないこともあるかと思いますが、
せめてニュートラルであれば、
こうしたガセネタには踊らされないようにご注意ください。
そこで私から改めて確認させていただきことがあります。
先ず、政策金利を決めるプロセスは既にご存知かも知れませんが、
通常は会合に参加する委員の多数決によって決定します。
つまり流れとしては、
インフレ認識が共有されている限り
多数決は利上げで満場一致となりますが、
次第に据え置きを主張する委員が一人増え二人増えて
決定内容が据え置きとなり、
景気後退が認識され始めると、
利下げを主張する委員が一人増え二人増えることで
最終的に利下げが決定される…
というのが一般的なのですね。
ですから、連続利上げから、いきなり利下げになるというのは、
例えばリーマンショックやチャイナショック、コロナショックなど
重大で急な出来事が無い限りは、ゼロとは言えないものの、
概ねあり得ないという認識を持っています。
たしかに相場が下落した背景の記事をよく読むと
2024年末までには、とか
2024年下半期には…などという保険が掛けられてはいますが、
ヘッドラインにそこまで掲載されるかは甚だ疑問ですね。
また、例え政策金利が据え置かれる憶測ニュースが出回ったところで、
特に対円に関しては現状の金利差は少なくとも据え置かれることになり、
どうしても運用しなければいけない運命を背負っている機関投資家などは、
金利が据え置かれるだけで解消したり、投資を手控えることはないと
理解しています。
ただし、
先にも触れたように、階段を登るごとに確実にピークには近づいている
ことになりますから、
債券であればここから先は、利回り重視ではなく、今よりも増して
トレード収益のウエイトが高まるとすれば、
残念ですが、意味もなく乱高下するシーンはもっと増えてくる
かもしれません。
こうした意味で今後も重要度を増す政策金利発表は
アメリカが9月21日の日本時間03:00 (20日夜の深夜)
予想は5.5%で据え置き
イギリスが9月21日の日本時間20:00
予想は0.25%利上げの5.5%
にあり、ユーロは14日、既に0.25%引き上げで決定しています。
ちなみに、
イギリスのMPCは理事1 委員4 総裁1、副総裁3の9名
アメリカのFOMCは地区連銀総裁5 理事4 副議長2 議長1の12名
(日銀のWebサイトより)
結果は、確か金利発表と同時に知ることができますので
内訳がどうだったかを確認するのも面白いと思います。
浅野敏郎
P.S.利上げで満場一致しなかったとしても、
残りが反対だったとは限りません。
上げ幅の違いでも満場にはならないので、
その内容を良く確認することも大事です。