暦は2023年から2024年へと改まりました。
本年もよろしくお願い致します。
それにしても
元日から尋常ではない災害に見舞われた日本は、
いつもの、ありふれた
それでいて色々な願いが込められる年頭の挨拶さえ
憚(はばか)られる中
特に被災された方々にとって
日本人の意識の中で最も大切な一日の一つが、
最も悲惨な記憶になってしまった事への
混沌とした心情は、計り知れないことだ思います。
ニュース速報を見た直後には私も
「なぜ元日に…」と呟かざるを得ず、
今年の波乱を予感した矢先の翌2日には、
羽田空港で燃え盛る旅客機の映像を見るに至り、
一瞬「絶望」の二文字が頭をよぎりました。
この絶望的な事故にも関わらず、
炎上した旅客機の乗客は全員が脱出という
奇跡的な結果だった一方で、
接触したもう片方の海保機の乗員は
6名中5名が帰らぬ人となってしまったのは残念です。
そして、
その飛行目的が前日の震災救護活動だったことが判り
言いようのない負の因縁を恨むことしかできませんでした。
被災及び当該事故により他界された皆様へは、
謹んでご冥福をお祈り申し上げますとともに、
御存命の皆様には、
1日も早い日常が戻りますことを願っております。
2011年には東北大震災という試練を経験した日本ですが、
本年の能登半島震災での政府対応を報道で見る限り
大した進歩前進は感じられず、
東北の教訓を活かした緊急災害対策を、
この丸13年間で一体、何をどのように改革してきたのか?
という疑問が残ります。
ある調べ事をしていると、以下のような文章を見つけました。
ヘリコプターの保有機に関して
1997年10月2日に記されたものですが、
「前略…注目すべきは警察、消防、海上保安庁など、
政府機関の保有機が合わせて195機で2割近くを占める…
中略…特に阪神大震災いらい、防災を名目とする政府機関や
自治体のヘリコプターは一挙に増加した。
中略…もしも今、東京や横浜が阪神大震災のような
大災害に襲われた場合、ヘリコプターは
都市火災や人命救助のために、どこまで有効に使われるか。
私の見るところ、阪神大震災の教訓は
いっこうに生かされるようすもなく、
再び神戸の二の舞が起こるような気がしてならない。
これが杞憂に終われば幸いである。」
※https://kokugen19.holy.jp/gendai/howmany.htmlより部分転記
これは東北震災の更に13年前の記事なのですね。
能登では未だに孤立集落があるようですが、
自衛隊機を含めれば、それこそ数日あれば解決しそうにも思え、
輪島の火災も、もっと小範囲で収まったのではないか?
と考えてしまうのは私だけでしょうか。
さて、前置きが長くなりました。
今回のテーマである世界のリスクについては、
昨年の1月にも取り上げたことがあります。
※当該記事はこちら https://f-inte.jp/2023/01/23/biggest-10-risks-2023/
2024年版がちょうど昨日の1月9日に発表がありましたので
お知らせついでに取り上げたいと思います。
「世界の10大リスク」というレポートは毎年の年初に
ユーラシアグループという調査機関が
当年の世界的なリスクに対して考察、解説したもので、
実物の日本語版は次のリンクで読むことができます。
https://www.eurasiagroup.net/siteFiles/Media/files/Top%20Risks%202024%20JPN.pdf
本年の10大リスクを改めて掲載してみますと、順番に
1.米国の敵は米国
2.瀬戸際に立つ中東
3.ウクライナ分割
4.AIのガバナンス欠如
5.ならず者国家の枢軸
6.回復しない中国
7.重要鉱物の争奪戦
8.インフレによる経済的逆風
9.エルニーニョ再来
10.分断化が進む米国でビジネス展開する企業のリスク
となっています。
ちなみに、昨年の社員通信でも述べましたが、
このレポートには「リスクもどき」として
幾つかの準リスクが挙げられており今年は
・米中危機
・ポピュリストによる欧州政治の乗っ取り
・BRICS対G7
の3テーマが「もどき」になっていました。
公表後の時間が短い中で、未だ読み込むには至っていませんが、
昨年の内容よりも、なんとなく難解になっている印象でした。
是非一度、読んでみることをおススメしますが、
多くが昨年と重複しており、リスクの長期化が伺えます。
長期化はイコール複雑化したことを内包しているので、
文章も難解になっているものと想像しますが、
のっけから、あのハリーポッター作品に引っ掛けた
「ヴォルデモート(闇の魔法使いの帝王名)」の例えが
私を含め、知らない方にとっては大きな謎であり、
※https://front-row.jp/ 内の画像をスクリーンショット
左がハリーポッター 右がヴォルデモート
先ずは難しそう…と感じる一因にもなっていませんかね!?
それとも、世界的には共通認識されているのでしょうか?
で、今年の特徴としては、
ご存知の通りアメリカの大統領選を筆頭に
国家のトップを決める選挙が世界的に行われる模様で、
その結果次第では非常に偏った、視野の狭い政権が
世界各地に誕生するリスクが増大し、
世界の先行きが懸念されるという内容でした。
政治と経済はもちろん、密接な関係にありますが、
一般的な経済リスクとして把握するためなら、
6から10までが具体的に思えます。
特に8を読んでみると、現在の日銀政策が順当に思え
妙に納得してしまいました。
何れにしても、
「では、どうなればこれらのリスクを軽減できるか?」
を考えた時、
当調査機関がアメリカの民主党支持派である可能性
を感じつつも、個人的な感想としては
★アメリカのトランプ氏(共和党)再選が回避されること
が大前提であることに加えて
★ロシアが敗戦すること
の2点に絞られると理解しました。
特に昨年のレポートでは確か、
ロシアが消滅するのは時間の問題ともされていましたが
今年はロシアが勝利する可能性が示されていました。
その確実性はさておいても、
ロシアの勝利は世界を狂気に導く可能性は相当高く、
それこそが日本を含め欧米がウクライナ支援を行う
大義名分だったはずです。
もう一度、この点を世界で共有して民主主義を守り、
侵略戦争に異を唱えて
先進国が再度強く結束する必要はありそうです。
また、10大リスクの多くに起因するロシアはやはり
当面の世界的なリスクなのだと実感した上で、
ロシアをプーチンに置き換えれば
人間には必ず寿命があるので、
その時まで持久戦を貫くという選択肢も、
以前ならあり得たでしょう。
しかし気候変動の暴走は恐らく
それまで待ってくれないことを考えれば、
膨大なコストがかかる気候変動対策を行いつつ、
膨大なコストがかかる戦争も継続するのは
それも非現実的です。
ウクライナ紛争やパレスチナ紛争につぎ込まれる
膨大なコストを気候変動対策に使えたら今頃…
と思うと、本当に残念でたまりません。
気候変動対策が唯一今、世界がまとまるキーワード
だと世界が共有し、
時間とコストの浪費である戦争こそが
その対極にある悪であり、
理由が何であれ、気候対策の邪魔をすることが
「ヴォルデモート」だという共通認識が
全てのリスク軽減に必要不可欠な気がしました。
お仕舞いに、
年初からネガティブな内容になってしまいましたが、
テーマがリスクだったことからご容赦願えると幸いです。
そして、今の世界のリスクを各自が充分に考えた上で、
当レポートの「おわりに」を読んでいただけると、
希望ある方向はどっちなのか
明るいイメージが湧いてくると思います。
次回からは前向きに参りますのでどうぞ
宜しくお願い致します。
浅野敏郎
P.S.
今のところ、日本の政権に交代意思はないようですが、
今年の世界的な流れが選挙年だとすると、
そうなってしまう可能性も出てきましたが、果たして…