社員通信

N波動とは?その良し悪しから想定するシナリオの創り方

9月も半ばだというのに相変わらず強烈な暑さが続き、
嫌気を通り越して出口が見えない絶望感すら覚えますが、
さすがに朝晩は秋を感じるようにもなり、若干の希望が出てきました。

昔から「暑さ寒さも彼岸まで」という言い伝えがあるように、
今週末の秋の彼岸に期待がかかります。

 
さて今回のタイトルにあるように、
同じN波動にしても、良し悪しがあることについては以前にもお話した記憶がありますが本題に移る前に…

まず何をもって相場の上昇や下落とするかについては、前者が「高値安値共に切り上げること」、後者が「高値安値共に切り下げること」というのが一般的ですね。

その時、起点の安値または高値からの変動が上昇や下落で確定した際の波形はN状になることから、上昇や下落の波動はN波動と呼ぶことがあります。
例えば、

※ドル円日足チャート(TradingViewチャートを加工して作成しています)

Aの安値を起点とした値動きは、Bで一旦の高値を付けてAよりは高い安値Cまで下落後、再度上昇してBより高い高値Dを付けたことで安値高値共に切り上げた結果、「上昇」と認識でき、A-B-C-Dの形状はNとなりましたね。

そこで、常に現行足で判断しなければいけないトレードに落とし込んだ場合、

例えば、C以降でBを越えていない状態でこの相場に接した時、Cを再度割り込めばB-Cの波動を継続する可能性もあることから、そう安易に買えないと思います。
つまり、A-B-C以降で上昇に期待できるのは再度、Bを越えてA-B-C-Dが上昇のN波動を確定した瞬間しかないとも言えます。

実際、Bの高値を更新して形としては上昇再開となったものの、結果は僅かに更新した高値Dに留まった訳ですが、
C以降Bを越えるまでの悩ましい間に、備えておくべきシナリオが幾つかあります。

まず1つ目はBを越えた際の勢いが重要で、当然ながら上昇余力があればブレークアウトに特徴的なある程度の急伸が期待できますが、もしそうでもない場合は余力に疑問を持つべきです。

2つ目には抜けた際の上昇目途を付けておくことで、この場合はBを越えた以降の上げ幅は、最低でもB-Cの値幅分は上昇してDとなるか、AとCの安値同士の差分はBから上昇してDとなることが目安となり、そうならない場合は上昇余力に疑問がありそうです。

そしてD以降の調整の押しについても、第一高値Bを割り込まないまたは、最悪でもC-Dの半値以内で下げ止まれば再上昇も望めますが、もしそうならない場合はやはり、上昇余力に疑問を持つべき…

などなど、この程度のシナリオが描ければ申し分ないでしょう。

これらを踏まえた上で実際の動きを見てみると、Bを越えたプライスアクションは非常に低調で、ゲインした上昇分を直ぐに1本の陰線で帳消しにするなど、上昇余力は乏しいものでした。

もちろん、実際にDの足や次の陰線足が現行であった場合、後から俯瞰して解説するよりはずっと難しいものがありますが、Bを越えた時点が唯一のエントリーポイントとした以上は、Bを再度割り込んでストップロスにかかってしまう様なら一旦は負けと決意し、
例えばC-Dの半値以内でEが決まればワンチャンスを狙うなど、新たな戦略機会を待った方がリスクを最小限にできるかと思います。

この場合のストップロスは、通常であればCの下に置くのが正論だと思いますが、このところのボラティリティ(価格変動)があまりに高く、値幅的にはCは遠すぎるため、とても悩ましい局面ではありましたので、上昇余力に疑問が持てていればBを再度下回ったところでカットするくらいの勇気を振り絞れたかも知れません。

 
さて、N波動にも良し悪しがある件ですが、結論から言いますと下の図の通りです。

※過去記事に使用したものを再掲


※過去記事に使用したものを再掲

上側が良いN波動で、下側が悪いN波動なのですが、悪い方は確かに安値高値共に切り上げてはいるものの、押しが深い場合です。

悪い理由としては、安値同士が近い深押しであるほど、もはやレンジや揉み合いに等しく、確かに前述の正論的なストップロスが置きやすくはなりますが、それ自体がレンジトレードと同じ手法であることに気づくべきです。

また、押し目が深くなるほど安値同士の差分も少なくなり、高値を更新した時の上昇期待も少なくなってしまいます。

その点で、押し目が上昇分の半値以内に収まり、高値更新後の押し目が直近高値で下げ止まるような相場は、上昇余力が残っている証明にもなり、取り組みやすい相場と言えるでしょう。

実際は下ヒゲや上ヒゲなどでこのように美しい波動は滅多にないところですが、終値ベースなどでザックリと同様なパターンであれば、経験からも試す価値は充分にあると考えます。

現に大雑把ではありますが、F-G-Hの場合は半値からは程遠い僅かな戻しG-Hで、再度Gを割り込んだ相場は大きく下値を伸ばしました。さすがに急落という速度まではシナリオとして持てなかったものの、差分F-Hの大きさやGの下割れは同時にAの下割れだったことを把握していれば、多くの皆様も相当な確率でG割れを売る決意はできたものと確信しますし、G-Hの値幅以上にGからの下値を伸ばした際は、売り増す判断もあり得たと思います。

 
 
浅野敏郎

P.S.
もちろん、全ての変動が100%そうなることはありません。ただ、一つの理想形として把握できていれば、前もって幾つかのシナリオが想定できますし、想定が崩れた際には客観的に判断することができるハズです。それでも判断できない場合もありますからその時にスクエアなら、「前向きな様子見」をおススメします。なおN波動という名称は、一目均衡表で使用されている上昇や下落の波動を表す固有の表現です。

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