社員通信

金融不安は本当に過ぎ去ったか

3月上旬、降って湧いたように連鎖した
米銀破綻と欧州大手銀行の危機は、

各地域や国の中央銀行が迅速に対応したことで
月末には沈静化したように見えます。

 
そもそも今回の米銀破綻の主要因は、
預かり資産のずさんな運用管理だった
ことになっていますが

局部的かつ一時的にしろ
取り付け騒ぎや筆頭株主による増資拒否、
そして一部のジャンク債が無価値になったり、
一部銀行のデフォルトスワップが急拡大した現象は

信用収縮の代表的な事例であることを
認識しておく必要があります。

※出処:ベルトラさんサイト(https://www.veltra.com/jp/)

 
というのも、ご存知の通り先進各国は
高度なインフレ状況下での景気後退という
難しい舵取りを迫られる中で、

日本以外はインフレ退治に軸足を置く姿勢を崩さず、

各中央銀行は少し手綱を緩めたものの、
金融引き締めを継続しています。

そしてこうした金融引き締めの影響は
一般企業にも徐々に表れている可能性は充分あり、

アメリカの大手企業でさえ大規模なレイオフを
繰り返している点が気になります。

直接の理由は、
社会的な消費構造変化に対応するためだとか
人件費の高騰で効率化を図るためだとか
企業によって様々であると思われるものの、

その影響が雇用や消費の統計に表れてくるようだと
信用収縮はいよいよ一般家庭にも押し寄せる
事になります。

人手不足は何故か世界的な現象になっていますが、
吐き出された雇用をどこまで吸収できるのか、
注目したいところです。

 
そんな中で先日、バイデン米大統領は、
アメリカの金融機関に対する監視強化を指示しました。

※出処:朝日新聞デジタルサイト(https://www.asahi.com/)

シリコンバレー銀行破綻を受けた対策の一環でしょうが、
報道によると当該銀行は、
運営の健全性を測るストレステストを無視していた
とされており、
今回の監視強化指示は自然と言えば自然です。

ただ、金融機関やそこに依存している企業にとって
監視強化は一種の金融引き締めに成り得るため、
場合によっては
利上げ同様に信用収縮の連鎖につながるリスクを
認識しておく必要があります。

 
さて、カレンダーは4月に入りました。

日本では各方面で新年度に当たりますから、
冒頭から悲観的な話はいかがなものかと思いましたが、
万が一の可能性として列挙致しました。

今回の金融不安は先月の話でもあり、
経済指標などにはまだ表れていない形ですが、

4月以降の発表分がどうなるか要注目ですし、
今週末の7日には早速、アメリカの雇用統計が控えています。

 
 
浅野敏郎

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