社員通信

ハイギャバトマト栽培

こんにちは、セミナー運営担当の森山です。

皆さまは「ゲノム編集食品」という言葉をご存知でしょうか。
2020年12月にゲノム編集技術を用いた
トマトの販売・流通を厚生労働省が問題ないと判断し、
国内初のゲノム編集食品をして販売の届け出が認められました。
そして2022年、現在私の家のベランダでこのトマトを栽培しています。

実家でトマト栽培は経験あったのですが、ベランダでの栽培は初めて。
東向きのベランダで日当たりがイマイチ良くなかったせいか、
背丈ばっかり伸びてしまいました。
うーん、難しい。
それでも初収穫は嬉しかったです。
肝心の味のほうは…お店で売ってるもののほうがおいしかったです(笑)
実際自ら栽培してみると、毎日観察して成長具合を確認し、
誘引・水やり・追肥・芽かきなど意外と行うことは多く、
店頭に並ぶトマトはプロ農家さんが
たくさんの手間をかけているのだと改めて気付かされました。


さてこのゲノム編集食品、
2022年の現在はトマト・マダイ・トラフグの3種で
各製品の生産規模は小さいですが、
徐々に市場を開拓しつつあります。
芽に毒を持たないジャガイモ(個人的にはこれが一番気になる)、
アレルゲンの少ない玉子、病害虫に強いイネなどが研究開発されています。
ゲノム編集では、本来その植物が持っている
ゲノムの配列の一部を狙って変えることで機能性を変えます。
よく混同されるのが従来の遺伝子組み換え技術なのですが、
これは植物が本来持っていない遺伝子を組み入れるもので、
ゲノム編集とは異なるものです。
もともとトマトには血圧を下げるとされる
「GABA(ギャバ)」が含まれます。
通常のトマトはギャバの量があるところでストップしてしまうのですが、
そのストップをかける遺伝子を失くすことで
たくさんギャバが含まれるトマト(ハイギャバトマト)が
出来るようにしてあるのです。
この特定の遺伝子が失くなるというのは、
自然界での変異でも起こり得ること。
つまりは、従来の品種改良と変わらないということです。

日本では遺伝子組み換えというワードに
悪いイメージがついてしまった過去があります。
皆さまの中でも、そのようなイメージを持たれる方は多いのではないでしょうか。
今度のゲノム編集というワードも
あまり歓迎されていないようですが、
遺伝子組み換えと同じ轍は踏むまいと
各ベンチャーは様々な手を使って広報をしています。
ハイギャバトマトを開発したベンチャーも
家庭菜園界隈を巻き込んだ上手なマーケティングで…と
この話はまた別のところで。

国でも
「遺伝子を失くしたゲノム編集食品に関しては、
従来の品種改良による食品と差がない」
と判断し、
2019年届け出を行ったうえで販売できる制度を新設しています。
実は、この制度を後押ししたのは先日逝去された安倍元首相でした。
詳細は割愛しますが、
届け出た食品が厚労省・農水省への事前相談や情報提供で
遺伝子組み換え食品ではない、と判断されると
情報公開後に流通可能となります。
このスピーディーな流れは、
ゲノム編集食品の更なる普及を後押しすると考えられます。
政治家には珍しく最新のバイオ技術や医療・ヘルスケア分野に
一定の理解があった元首相。
普通なら審査会などを挟むものですが、
迅速な制度を推した理由には
ご自身が難病を患っていたことが関連していると考えています。
本当に惜しい人を亡くしてしまったものです。

今回のトマト苗は
4本で8000円という超高級品
(通常トマトの苗は1本150円~300円くらい)ですが、
流通量が増えてくると価格も低くなるでしょう。
栽培はプロに任せて、
おいしいハイギャバトマトが早くお店に並ぶ日が来るといいなあ(笑)
今後続々と出てくるゲノム編集食品、皆さまも要チェックです!

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