社員通信

トレードルールとして、ロスカットが重要である理由

カレンダーは早くも3月になりました。

為替相場の方は…と言えば、2月下旬辺りから
米ドルとの連動性がペアによってはまちまちなため、
どうしても違和感が先立ってしまいます。

要因はクロス取引であることは間違いないのですが、
タイミングがなかなか読めないので苦労しています。

イメージが合わない場合は、一歩退いて様子を見るのが、
鉄則だとは思うのですが、

まあまあボラティリティもあるので、
ついついエントリーしてしまうと、
直後から反転したり、急に狭いレンジで揉み合うなど

※いらすとやさんから拝借 実際はここまでひどくはないですが…
典型的なイライラパターンに陥ってしまいますね。

3月と言えば
本邦のレパトリエーション(海外資金を本国に戻すこと)
なども絡んでくるので
不思議な値動きが暫く続くのかも知れません。

 
ところで本題ですが、

最終的には買戻しや売り戻しで決済することが大前提の
トレードにおいて、
重要なルールとして今や誰もが口にするようになったのが
ロスカットです。

ロスカットとは、
ポジションの方向とは反対に相場が進んでしまった際の損失を
買戻しや売戻しをすることで確定してしまい、
それ以上の損失を出さないための注文、またはその行為を指します。

一般的に認識されていることとして

取引価格からあまり近過ぎると
ちょっとした反動でロスカットが発動してしまう一方、

取引価格からあまりに遠すぎると
実際に発動した際のダメージが大きくなります。

まあ、深すぎるロスカットが付くまでには
通常は相場が転換したという兆しがあるハズで、
なぜそこまで放置するのかという議論がある一方、

それならば、深いロスカットはそもそも必要ないよね
という見方もでき、

これはこれで非常に難しい課題ではあります。

今回は、どのようにそのロスカットを置くのか?
といったアイデアの提供ではないですが、

非常に単純なルールと相場変動を例にとって、
結果を比べてみますので、
少しでもロスカットの重要性を感じていただければ
取り上げた意義の一つが達成できると考えます。

 
 
現在220円で、とある相場が下落気味に推移しています。
200円以下は買いという相場観から、10円変動したところで買いを入れます。
ただし、利が乗っている場合はそのまま買い増しますが、

損失が膨らむ場合
1)ナンピンはせず、マイナス5円で都度都度ロスカットして入り直す
2)ナンピンはしないが、ロスカットもしない

つまり、常に1ロットで開始するという訳です。

 
先ず下落局面が進んだ場合の結果が下の図です。

相場が150円まで下落した時、
1)はロング(LG)が1ロットできていて、
損失は5回分のロスカット(LC)の25円
である一方、

2)は200円のロングができて以降は何もできず、
確定損ではないものの、2倍の50円の損失が発生しています。

 
相場はここから反転上昇し200円まで戻したとすると、

1)はロングが6ロットできていて、損益は合計で150円の含み益(ネットすると125円)
になっている半面で、

2)はロングが1ロットのみで損益は0円、
ここから相場がさらに上昇しても200円以上になってしまうので
買い足すこともできない状況です。

総括すると、

1)に関して、
上昇局面では建玉に要する資金は必要ですが、
25円の余剰資金があれば下落局面をしのぐことができ、
200円以下で6ロットの買いに成功した一方、

2)は2倍の50円の余剰資金が無ければ途中で決済せざるを得ず、
そうなれば相場が200円に戻ったとしても
結局は200円以下で1ロットも買えなかった事になります。

 
相場はもちろん、このように単純には動きませんし、
5連敗した後で同じように行動できるかなど、
メンタル面がカギになる場合も多いとは思いますが、

「含み損は確定するまで損失ではない!」
という妙なメンタルをお持ちの方は
早めに卒業された方が良い気がします。

 
 
浅野 敏郎

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