子供のころ、一度は読んだことがある本と言えば
恐らくイソップ物語があげられると思いますが、
ただあまりに昔過ぎて、各物語の本当のタイトルが
なかなか出てこない歳になってきたのは悲しい限りです。
本日のタイトルは正にそのイソップの一物語ですが、
Wikipediaにあったあらすじをそのまま掲載しますと…
「ある時、北風と太陽が力比べをしようとする。
そこで、
通りすがりの旅人の外套(がいとう)を
脱がせることができるかという勝負をする。
まず北風が力いっぱい吹いて上着を吹き飛ばそうとする。
しかし、
寒さを嫌った旅人が外套をしっかり押さえてしまい、
北風は旅人の服を脱がせることができなかった。
次に太陽が燦燦と照りつけた。
すると旅人は暑さに耐え切れず、
今度は自分から外套を脱いでしまった。」
とあります。
※出処:「いらすとや」から拝借
結果は太陽の勝ちという訳ですが、
なぜ唐突にこの話を持ち出したかというと、
政府が行っている為替介入からの連想でした。
市場介入は強い相場の流れを止めるのが目的ですから、
そんな甘い話は簡単に成し遂げられるハズはありません。
なので、そのことを批判してもあまり意味がないのですが、
問題はその「やり方」だと感じています。
実際に海外市場で本格的に介入をした
2022年10月21日深夜の場面ですが、
たまたま介入の少し前から相場を見ていた私は
その後、23:00台以降に始めた狂乱介入の約3時間、
相場とガッツリ対峙してみました。
当初は介入に対抗するエントリーを繰り返し、
146円台以下に押し下げた以降は、
介入に乗るエントリーを選択したのですが、
結果はトントンでしたね。
この経験を通して
「この介入のやり方では、かえって買いをあぶり出すだけ」
だと感じました。
何故か?というと
私が使っていたブローカーだけかも知れませんが、
指値が全面的に禁止になってしまい、
急落したところを拾うことは先ず無理でしたので、
成行で買うしかなかったのですが、
いつどこまで売り下げてくるのか想像を超えた介入だったため、
介入が止むのを待って買うしかなかったわけです。
ところが、皆も同じことを考えていたのでしょう、
介入が止んだ途端、売り注文が薄い中を
今度は売値がドンドン上がってしまい
こっちも急騰せざるを得ない状況が発生。
急騰するとまた介入を始める…という連鎖になって
結局、147~149円を乱高下する格好が続いたため
トレードは止めました。
財務省は投機を目の敵にしています。
円に構造的な矛盾がある以上は仕方ないことですが、
ただ忘れていただきたくないのが、
投機が全員ドル買い円売りかというと
私も途中から方向を変えてみたように、
売って儲かるようであれば、それに乗る投機が現れるのです。
つまり投機を味方につける発想も必要で、
正に超円高時代はその力で、円高に持って行けたわけですね。
介入に乗って売ってみたところで、
あのやり方では返しの買戻しで損するしかなく
ファンダメンタルズを考えなくても
誰も売りたくはない、やり方でした。
政府は急激な変動は良くないといつも宣言してます。
コートを脱がそうと余りに必死になり過ぎると
ついつい腕力に頼ってしまい
短時間で強行したくなるのも分りますが、
北風と太陽をよく思い出して頂き、
※思い出していただけるようにもう一度!! 出処:「いらすとや」から拝借
介入においても急激な変動は望ましいとは言えない事を
かみしめて欲しいと思います。
もっと丁寧に売り込めば相当な利益になったでしょうから
その利益を国民に還元するくらいの気概でお願いします。
浅野敏郎