9月に入り最初の投稿になりますが、
絶賛沸騰中の本邦の気候は、高温にまつわる様々な記録が塗り替えられている状況です。
恐らく2025年の史実として残るだろう「令和の米騒動」は今のところ、想定以上に落ち着きを見せていますが、一時は有名な米どころが水不足や高温障害に見舞われるなど、ざわつく場面もありました。
それもこのところの降雨で、相当な範囲が救われた模様ではありますが、逆に集中的な豪雨も発生しはじめ、台風シーズンを前にして今度は水害のリスクが懸念される場面も想定できます。
米騒動が完全に鎮火するには、まだまだ予断を許さないところですが以前、とあるコメ卸業者の株価について触れたことを思い出しので改めて調べてみました。
※Trading View社のチャートをベースに作成しました
騒動が顕在化したタイミングでの6月最高値3000円水準から、備蓄米の放出効果で翌7月には2000円水準の押し目を付けたのち、何と8月中盤までの僅か半月の間に一時的に6500円水準まで急騰していました。
今年の年初では1000円台前半で小動きだった某社の株価は正に、「米騒動」銘柄とも言うべき状況ですが、時系列で変動を追って見ると概ね、各種報道に沿った値動きになっており、米の先物市場がさえない中、こうした株式銘柄が一種のヘッジ市場になっている可能性が見えてきます。
出来高などから見るとまだまだ仕手株の域を脱していないかもしれず、初心者には不向きな銘柄とも言えそうですが、おコメの作柄予想がダイレクトに株価に影響する中、作柄情報はインサイダー情報には該当しないため、専門家ではなくても正に穀物の先物取引をしているような醍醐味が味わえるのかも知れませんね。(決して推奨をしている意図はありません)
さて、
前回の原稿でも触れたように、9月から10月にかけてドル円はチャート的にもクリティカルなタイミングになっていますが、各種ファンダメンタルズ的にも、重要なイベントがあるようです。
9月1日付ではありますが、ブルンバーグ社からポイントをまとめた記事が公開されていますのでご紹介したいと思います。
タイトルは、「14営業日が米株の運命握る、夏季休暇明けの投資家にイベント目白押し」(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-08-31/T1V19SGP493400)というもので、かいつまむと
・米雇用統計(5日21:30日本時間)
・米雇用ベンチマーク速報値(9日23:00日本時間)
・米CPI(11日21:30JST)
・FOMC政策金利決定会合(18日03:00日本時間)
・米トリプルウィッチング(19日米国時間)
が14営業日内に発表され、2025年終盤に向けた方向性が決まる可能性を指摘しています。
これまでは夏季休暇中だったこともあって、株式市場のボラティリティ(変動幅の大きさ)は低調が続く中で、S&Pは押し目らしい押し目を付けずに記録的な期間で上昇継続を続けてはいるものの、上げ幅は行き詰っているらしく(休暇だったので当然といえば当然ですが…)、アノマリー的に低調な9月相場を考慮すると、慎重にならざるを得ないと分析しています。
全体的にS&Pへの解説になっているこの記事ですが、ここでの「慎重」に対する解釈は、個人的にはネガティブ、つまり目先は多少の調整下落を見越しつつ、その際には狼狽することなく押し目を買い直すような心構えを訴えているように感じました。
調整の可能性についての裏付けとして、この静けさに対して機関投資家が楽観し過ぎてVIXを大規模にショート(指数を売っている、つまりボラが拡大する可能性は極めて低いとみている)している点に触れ、過去にも同様な状況下でボラティリティが急上昇した経緯を挙げています。
そのきっかけとして、14営業日以内に発表される各イベントがトリガーとなり得る…という訳ですが、個人的にはこうしたイベントを再確認し、アメリカでもかなり意識されていることから警戒しておく…程度の把握で良いかと考えています。
注意点として、
9日発表のベンチマークは本邦投資家にとってあまり馴染みがない指標だと認識していますが、いわゆる雇用統計の改定値(各回に発表される改定値とは異なる、過去1年間の調整)で、特に今月のFOMCで利下げ期待がかかる中ですから、予想以上に注目度が高まっている可能性があります。
また、アメリカ版のメジャーSQとなるトリプルウィッチングは、経済指標ではないのでカレンダーには掲載されない懸念がありますが、この日を目指して米株市場では思惑が交錯しやすいため、日本株や為替のトレーダーにとっては盲点になり易いかも知れません。(米株のSQは第三金曜で、日本の第二金曜とは異なる点で注意が必要です)
お仕舞いに為替に関して、
先に挙げた各イベントは、為替市場にも大きな影響を与える可能性があることはご存知だと思いますが、9月1日付けの同ブルンバーグで
「ヘッジファンド、1ドル145円超える円高見越しポジション構築」という記事があります。
(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-09-01/T1VUR6GOT0KA00)
同記事ではCMEデータとして、145円を超える円高になると利益が出るオプション取引が機関投資家を中心に構築されつつあることを伝えています。
休暇中のヘッジだったとすれば、そのうちに解消される可能性もありますから、その辺りを踏まえて話半分で記事を閲覧されることをおススメしますが、
一つだけ言える事は、今回ご紹介した記事は英語が原文であり、海外の多くの投資家が目にしている可能性が高い内容です。
1日のアメリカ市場は休場でしたから、9月イベントに向けた本格的な調整(解消が進むにしろ、ポジションが増えるにしろ)は今日からということになりますので(公開時には初日が終わっているころでしょう)、
不可解な値動きが見られた際には今回の記事を思い出して、その辺りに関連したものは何なのかを考えてみると案外、スッキリする場面があるのかも知れません。
浅野 敏郎
P.S.
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為替の記事は、意識的か否かは不明ではあるものの、円高バイアスが強めの記事となっている点、鵜呑みし過ぎるのも良くないかと思っています。